Stats NZ(ニュージーランド統計局)が第2四半期(6月期)の雇用統計を発表しました。
発表によると、
労働参加率は72.4%と1986年に統計を開始して以来、過去最多を記録して、
雇用率69.8%(前期比+0.2%)、失業率3.6%(前期比+0.2%)という結果。
イメージしやすいように言うなら、
専業主婦・主夫が生活費のプレッシャー緩和のためだったり、給与が大幅に引き上がっている今が仕事に復帰する好機とみて働きに出るとか、流入してきた移民が生活基盤を整えるために職を探すとか、そういった働く意志を持って職を探す人が過去最高に増えたがゆえに、多くの人が実際に職を得たものの、すんなり職が見つからずにいる人も増えたと言う結果です。
労働供給量(働きたい人)と失業者数(仕事が見つからない人)が共に増えたのであれば、それは過去数年間にわたり人員確保に苦労してきた企業の需要が満たされつつある(職場の空席が埋まってきた)といえます。
そのため、今日まで長く続いた需要に対して圧倒的に供給が足りていない事を示す「強烈な売り手市場」はピークアウトし、来年には経済の悪化を念頭に置いた企業の人事戦略(雇い控え)と、職を求める労働者の需給バランスが整い、企業側の視点で言えば、健全と言える状態に戻るかもしれません。個人の視点で言うなら、就職・転職の機会が減り、提示給料額も下がってくるので、もっと早く動いておけばよかったという状態。
労働市場の需給バランスが整えば、物価価格にも落ち着きがみられるようになるのがセオリー。
そうなればインフレ率はより一層Reserve Bank of New Zealand (RBNZ: ニュージーランド準備銀行=ニュージーランドの中央銀行)のターゲットである2%に近づくことが期待できるので、来年の第2四半期あたりには高止まりしている政策金利の利下げが発表されるかもしれません。
就職・転職を検討している方は、求める求人案件の有無や、邦人であればビザの関係性もありタイミングが重要だということは誰もがわかっていることだと思いますが、給料額面を重視するのであれば、今がほぼピークなので、動くなら今だと思います。
逆に企業の経営に携わっているなら、まずはヘッドカウントを埋める事が重要ですが、その重要度について再考の余地の有無をはかり、同時に景気が悪くなる中で、人員削減よりもまずは労働時間の削減を検討し、ここ数年で採用した高値人材が、そのバリューを提供してくれているのか、人事評価制度の見直しを検討する時期に来ています。
コメント