発表 2024年ニュージーランド現地法人ランキング日本語力・日本関連スキルを最も求めた企業

仕事

ニュージーランドのお金ドットコムでは、英語表記で募集されているニュージーランド国内の日本語力または日本に関連した知識、経験、技術を求める求人広告を広くお伝えする目的でご紹介しています。

本稿では2024年1月1日 ~ 12月31日の間に出稿された該当求人広告を集計し、2024年に最もニュージーランドで日本語力または知識・経験・技術を求めて求人広告を出した企業・団体のトップ10をご紹介していきます。

ものかん
ものかん

当ブログの求人情報は、英語表記のローカル求人サイトにも「日本語力または日本に関連した知識、経験、技術を求める求人がでている」事を広くお伝えする事を目的としているため、英語表記の求人サイト(Seek, Trademe, Indeed、他3サイト)および英語表記の人材紹介会社、求人主自社英語サイトのみを集計対象としています。日本語表記の求人掲載サイトは集計対象外です。

はじめに:集計サマリー

集計期間:2024年1月1日 ~ 12月31日

該当有効求人出稿企業数194社 (内5社は人材紹介会社)
該当有効求人広告件数342件
内訳:
日本語力「必須」とした求人

91件
日本語力「有利」とした求人95件
日本関連「知識・経験・技術」を
求めた求人
171件
(内 17件は同時に日本語力も求めていた)
当ブログで個別に紹介した求人広告件数46件
順位企業名有効該当求人
件数合計
日本語力
必須
日本語力
有利
日本関連
知識・経験・技術
1Origami110011
2Clear water trading9138(3)
2Savor Group9009
2Workday9630
5Sōki Sushi Train8053
6Tokyo Food Company7242(1)
7McGowan Hospitality6006
7Daikoku Restaurant Group6006
9Formosa Pacific5005
9Oji Fibre Solutions5500
9Remote Technology New Zealand5410
9St Pierre’s International5005
9Yamato Japanese Restaurant5125(3)

日本関連 知識・経験・技術 ‐ カッコ内の数字について
日本関連の「知識・経験・技術」いずれかと併せて日本語力も求めた求人広告の数。

例: 下記のように集計された企業の場合
有効該当求人件数 6
日本語力必須 2 | 日本語力有利 1| 知識・経験・技術 4(1)

4回募集した日本関連の「知識・経験・技術」を求める求人のうち、1回は「知識・経験・技術」に加えて日本語力も「必須」またはあると「有利」とした求人。

1つの求人で「知識・経験・技術」と「日本語力」それぞれにカウント1が加算されて2つの求人が出されていたようになってしまうため、有効該当求人件数を求める際はカッコ内の数を差し引いている。
必須2+有効1+知経技4-1=有効該当求人件数6

ランクインした13社が求めた能力別でみると、約半数の6社は「日本語力」を求めておらず、「日本関連の知識・経験・技術」のみを求めた企業であることが分かります。
逆に7社は英語でローカルの求人募集サイトに日本語力を求める、またはあると有利とする募集をかけたという事で日本語力を求める求人であっても英語で複数回にわたり募集をかける企業が上位半分を占めている事も判明しました。

ランクインした企業の業態内訳をみると下記のようにレストラン経営が9社と圧倒的多数を占めていますが、そのうち6社は日本語力を求めていません。日本食に関連した知識や技術、経験を求める企業が人材確保に向けて頻繁に広告を出したということが読み取れると同時に日本食を提供する店だから日本人または日本語話者のシェフを雇用する時代ではないとも読み取れます。

内訳 13社中
‐ レストラン経営:9社
‐ IT:2社
‐ 日本食輸入卸:1社
‐ 製紙(日系グローバル企業):1社

もっとも「日本語力」を求めていない6社のうち5社は日本人オーナーではないということも記しておきます。
また日本語を話せる日本食レストランオーナーが日本語力必須や有利で従業員として迎えたいと考えた際は、ローカル求人サイトには広告せず、無料または僅かな費用かつ日本語で求人を掲載できる日本語サイトのみに広告を出稿している可能性も考えられます。

昔から日本人がニュージーランドで働く業界御三家といえば、レストラン・観光・留学という状況が続いてた中で、観光・留学が1社も入っていないという点で、2024年はNZドル高が続いたことによるニュージーランド留学の敷居が下がってこない状況や日本人をターケットにした観光業の回復遅れ等が影響したかもしれません。

一方で、純然たるIT企業が2社ランクインしている点は非常に評価できるかと思います。

順位企業名有効該当求人
件数合計
日本語力
必須
日本語力
有利
日本関連
知識・経験・技術
1Workday9630
2Oji Fibre Solutions5500
3Remote Technology New Zealand5410
4Te Rūnanga Group3300
4Trojan Group – Hermitage Hotel3301(1)
6Auckland Japanese Supplementary School2200
6Cedenco Foods New Zealand2200
6Comvita2200
6Consulate General of Japan2200
6EIMS NZ2200
6Fiso Investment Group2201(1)
6Kings High School2200
6RealNZ2200
6Tauranga Boys’ College2200
6Embassy of Japan, Japan Information and Cultural Centre3210
6Kaipara College3210
6Tokyo Food Company7242(1)

こちらのカテゴリーでは全17社がランクイン。
前述した「有効該当求人件数合計」トップ10とは様子が大きく異なっています。日本語力を必須とする求人を年2回出稿するとランキング第6位に入るということで、それだけ日本語力必須のポジションを抱える企業が少ないと言えます。またその少なさゆえに日本語教師を求める学校4校がいずれも2回求人を出稿してランクインしています。

4321
学校:4校IT関連:3社政府機関:2製紙:1社
食品関連:3社その他:1社
観光:3社
順位企業名有効該当求人
件数合計
日本語力
必須
日本語力
有利
日本関連
知識・経験・技術
1Sōki Sushi Train8053
2Tokyo Food Company7242(1)
3Workday9630
3Clear water trading9138(3)
3Made by hands3030
3MDMC Advertising3030
3New Zealand ISA3030
8Yamato Japanese Restaurant5125(3)
8Tokyo Chopsticks NZ4024(2)
8Black Origin Wagyu2020
8Daikin Air Conditioning NZ2020
8Lagardère AWPL2020
8Ming Motor Group2020
8PHQ2020
8St John’s College2020
8Success Global2020
8Trojan Group – Ultimate Hikes2020
8YKK Food Creation2021(1)

こちらは求人広告に日本語力があると「有利」と明記した求人トップ10。
「有利」というのは 文字通り、日本語力があれば良いけど無くても構わない場合と、「必須」と書いてしまうと応募数が激減してしまうリスクを考慮した書き方である2パターンがあり、その見極めは難しいです。

順位企業名有効該当求人
件数合計
日本語力
必須
日本語力
有利
日本関連
知識・経験・技術
1Origami110011
2Savor Group9009
3Clear water trading9138(3)
4McGowan Hospitality6006
4Daikoku Restaurant Group6006
6Yamato Japanese Restaurant5125(3)
6Formosa Pacific5005
6St Pierre’s International5005
9Tokyo Chopsticks NZ4024(2)
10Sōki Sushi Train8053
10TKNZ3013(1)
10Ajisen Ramen3003
10Good Group Hospitality3003
10Millennium Hotels & Resorts3003
10Tanuki Group3003
10YB Sushi3003
カッコ内の数字は同時に日本語力も求めた求人広告数。 詳細はこちら

日本に関連した知識・経験・技術を求める企業でランクインした16社は、全てがレストランを展開している企業でした。日本食を提供する事を考えれば納得の結果ですね。
そして16社中11社が日本語力を不問としていますが、日本語力を求めた残り5社はいずれも邦人経営または関与が確認できるものなので店を運営するに当たり経営側が従業員と日本語で話せたほうが良い良いと考えている可能性が高く、この場合日本語力有利な求人でも相当な優位性を持つ可能性があるかもしれません。

順位求められた知識・経験・技術該当求人数
1【知識】日本食21
2【経験】日本食20
3【経験】日本食調理(3年+)14
4【知識&経験】日本食調理8
5【知識】日本文化&日本食6
6【知識&経験】同様職種歴3年+日本食材知識4
6【知識】日本飲食文化4
8【経験】日本食調理(2年+)2
8【知識】日本食材2
8【知識&経験】日本食&日本食レストラン勤務2
8【経験】調理 (3年+/内2年は日本食)2
8【経験】日本車整備2
8【経験】日本ディーゼル車整備(3年+)2

日本メーカーのガソリン・ディーゼル車整備経験以外は全て日本食に関連した「知識・経験」が求められているものがトップ10に入るという結果になりました。


これら日本食関連をさらにまとめると求められている事は下記3つに絞れます。
1:日本(飲食)文化の知識
2:日本食の知識
3:日本食の調理経験

この3つを見て「日本で生まれ育った人なら楽勝じゃないの?」と思う人もいるかと思いますし、実際に楽勝だったという人もいるでしょうが、知識も経験も店のレベルにより求められる深度は大きく異なります。

トップ10の上位2つは「日本食」の知識、次いで経験と、日本で生活してきた人からすれば非常に大雑把とも感じとれる求められ方であることが多いです。実際に広告内ではKnowledge of Japanese food 等と記されていることが殆どです。

2013年のアンケートですが、ここに醤油のキッコーマンが「日本人の和食に関する意識実態調査」を実施した際に家庭で作る和食料理としてランクインしていた和食リストがあります。

ソース:キッコーマン https://www.kikkoman.com/jp/corporate/news/20131206.html

そして、日本で生活してきた人がイメージする外食時の和食とは寿司を筆頭に様々ありますが、一例として魚菜和食 竹八という店のメニューを見てみても、まあそんな感じよな。と思えます。

ソース:https://9steps.blog.ss-blog.jp/2012-05-10

これが、外国人になると日本食のイメージは寿司についでラーメンや唐揚げ、とんかつ、日本のカレー、丼物、うどん、蕎麦など様々なものが挙がります。

日本で生活している人が「和食」を食べに行こうと言ってラーメン屋に向かうことはないと思いますが、外国人であれば当然ラーメンも日本食。
日本食の知識=本格的な和食の知識 である事のほうが稀で、必要以上に萎縮することもないと言えるかもしれません。

ソース:電通 ジャパンブランド調査2024 https://dentsu-ho.com/articles/9001


調理経験も「食材をスーパーで購入して自宅で自分の夕飯を作っていた事がある」レベルでよしとするのか、商業キッチンでの調理経験及びそれに付随するプロとしての食材や料理の知識を求めているのか。求人主により様々です。最終的にはスキルと経験の有無がキーになるはずなので、日本食を提供するレストランで仕事を探している方は下記3つを念頭において就職・キャリアアップ活動を行うと良いかもしれません。
1:日本(飲食)文化の知識
2:日本食の知識
3:日本食の調理経験

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