2025年通年 ニュージーランド日本語・日本関連求人動向(業界・職種別分析)

当ブログ「ニュージーランドのお金」では、ニュージーランド国内で英語で募集される求人のうち、
- 日本語力が必須または有利なもの
- 日本に関連する技術・知識・経験が求められるもの
を条件に該当する求人を独自に集計し、毎月公開しています。
本稿では、2025年1月1日から12月31日までの1年間に掲載された412件の該当求人から、業界・職種ごとの求人企業件数および求人件数を分析しました。
ニュージーランドで日本語力や日本関連の知識を活かしたキャリアパスを検討する際にお役立ていただけるかと思いますので、ぜひ参考にしてください。
2025年 該当求人広告件数
- 日本語力または日本関連の知識・経験・技術を求めた企業・団体総数:223 (前年比+29)
- 年間広告総件数:412件 (前年比+70)
- うち65%が日本に関連した知識・経験・技術を求めた求人
- 該当求人件数:ひと月平均34件
- 月別求人件数トップ3:3月:48件、8月:44件、2月:39件

年間の求人件数は412件ですが、「日本語力必須」「日本語力有利」「要日本関連」の3カテゴリーの広告数を合計すると428件となり、実際の求人件数より16件多くなります。
これは、1つの求人が2つのカテゴリーに同時に該当しているケースがあるためです。
例:「日本語力必須」かつ「日本市場向けの木材加工製造技術を要する」求人は、2つのカテゴリー(日本語力必須と、要日本関連)でそれぞれ1件としてカウントしています。
このように2カテゴリーに重複して計上された求人が今回のデータでは8件あり、その結果として3カテゴリーの件数を合計すると 8件 × 2カテゴリー = 16件分 多くなっています。
2025年 都市別 求人募集件数
求人が大都市に集中する傾向があるのは、どの国でも共通しています。
ただし本集計は、「日本語力必須」「日本語力有利」「要日本関連」を求める求人に限定しているため、極端に言えば、これらの求人は
- 事業経営者が「日本語で指示を出したい」
- あるいは顧客が「日本語対応を求めている」
このいずれか、または両方のニーズが存在する環境で発生しているものと考えられます。
つまり、募集件数が多い都市ほど、永住者・観光客・留学生などを含め、日本人が相対的に多く集まっている地域である可能性が高いと言えます。
逆に、表に記載がない、または件数が少ない都市については、日本語力や日本関連スキルを必要とする事業や顧客層が乏しい環境である、という見立ても可能だと思います。
日本語力や日本関連スキルを活かしたキャリアを検討している人であれば、求人件数の多い都市を中心に生活や就職を考えるのが良いでしょう。
一方、限られた時間で英語力を伸ばしたい留学生やワーキングホリデー利用者であれば、表に記載のない、または数値の低い地域での生活を検討するのも一つの方法です。

2025年 業界カテゴリー別 該当求人数
Hospitality & Tourism(ホスピタリティ・観光)が261件で全体の63.3%を占め、圧倒的に多くなっています。
これは、月次統計でも常に指摘している通り、「日本関連技術・知識・経験」を求める求人の多くが、日本食の知識や調理経験に関連していることが主な要因です。
その他の業種はいずれも10%未満で、Education & Training(教育・研修)が31件(7.5%)で次点。
さらにTrades & Services(職人・サービス)の23件(5.6%)を加えると、この3業種だけで全体の76.4%を占めることになります。
この数値からも、多くの人が肌感覚として持っているであろう「ニュージーランド国内で日本語力や日本関連技術・知識・経験を活かせるキャリアや転職の選択肢は限られている」が、感覚ではなくデータとして明確に分かります。

2025年 職種カテゴリー別 該当求人数
圧倒的に多い職種
Chefs/Cooks(シェフ)が年間180件で全体の43.7%を占め、最も多い職種です。
次点は Management(管理職) で47件(11.4%)、続いて Waiting Staff(ホール・接客) 20件(4.9%)となり、この3職種だけで全体の60%を占めており、日本語力や日本関連スキルが活かせる求人は、Hospitality & Tourism(ホスピタリティ・観光)のなかでも、飲食系に集中していることが分かります。
Management(管理職) については、それだけでは業種を特定できませんが、次にご紹介する業界別x職種別 クロス集計をみると、 47件中43件がHospitality & Tourism(ホスピタリティ・観光)業界の求人であることが分かります。
その他の職種で日本語力・日本関連知識を活かせる求人は少数派ですが、見方を変えると、求人数は少なくても、日本語力や関連知識を求める求人はニュージーランド国内の幅広い職種で存在していることが分かり、また、その少ないチャンスをものにしている人も居るということでもあります。つまりニッチなキャリアの可能性を示唆しているとも言えます。


2025年 業界別x職種別 求人広告数 クロス集計
上記で個別にみてきた業界別と職種別を統合してクロス集計したものが下記の表になります。
改めて、日本語力・日本関連スキルの求人は、Hospitality & Tourism(ホスピタリティ・観光)のなかでも圧倒的に飲食系に集中している事がひと目でわかります。
その他は、教育・IT・営業・専門技術職 など、少数ながら幅広い職種で求人があります。
教育に関しては、公立私立共に学校で日本語を教えている学校からの日本語教師募集求人が目立ちます。ただしそれらの求人はNZの教育機関で資格を取得して教員登録をしたうえで初めて応募可能になるので、例えば日本で外国人に日本語を教えた経験があったとしても、応募資格はありませんので、学校での日本語教師をキャリアとして見据えるなら計画を立てて行動に移す必要があります。
日本語力や日本関連スキルを求める求人は数が少ないため、見逃さず、戦略的に応募することが重要です。

2025年 業界別x職種別 必要条件と勤務形態
全体像として、「日本語」そのものよりも、「日本関連の実務スキル・業界経験」が圧倒的に重視されている構造で、またそのニッチさから日本関連求人は短期・副業ではなく、ほぼフルタイムの正規ポジションが中心になっています。
- 日本語力必須:38件(9.2%)
- 日本語力が有利:47件(11.4%)
- 日本の技術・知識・経験:243件(59.0%)
- Full-time:277件(67.2%)
- Part-time:27件(6.6%)
- Contract:12件(2.9%)
- Casual:1件(0.2%)

これまでに述べてきたように、日本食レストランが「日本関連求人市場」の巨大な雇用源になっています。
また教育関連は、日本語教師の他にも、日本から留学してくる学生サポートなど「日本語力そのもの」が価値になっている数少ない分野。
「日本語必須」求人の中身をみると、上述した教育関連の他に、
- コールセンター
- 政府系
- 医療事務
- 事務職
- 接客
など、対人コミュニケーションまたは公的業務が中心で、「日本語ネイティブ」であること自体が価値になるニッチ枠です。
また、412件の求人の内、33件が2ヶ月以内に再掲載(=採用が難航)しています。この中身をみると、
- Chefs/Cooks:23件
- Sales reps:2件
- Waiting staff:2件
- IT / Programming 系も一部あり、
日本食シェフ、日本向け営業、日英バイリンガルITといった分野で採用条件を満たす人材が少なく、とは言え、採用側は「妥協して誰でもいい」とは考えていないため、「採用できていないポジション」が一定数存在する可能性を示唆しています。
日本関連の知識・経験・技術
2025年に求められた日本関連の知識・経験・技術は合計で55種、そのうち37種(67%)が食に関連する需要でした。
日本食レストランが「日本関連求人市場」の巨大な雇用源になっている事を裏付けように、求人広告数別トップ5は以下のように全てレストラン関連。

求人事業数別でみてもほぼレストラン関連で占められます。
*求人企業数ではなく事業数です。(企業数=法人格の数、事業数=屋号の数)

1事業あたりの掲載頻度をみることで、1年間で1社あたり平均何回広告を出したかを把握すると同時に、数値が高いほど事業体が求めた日本関連のスキルを有する人材を見つけにくい(だから広告を複数回出している)、またはスキル不足というより「物理的な滞在期限による強制的な入れ替わりが年間スケジュールに組み込まれていることの現れと捉えられます。

1事業あたりの掲載頻度が2.0以上あった日本関連のスキルを多い順に並べると(下記)、求人事業数1が多くを占めていることが分かります。これらについては、各事業体の採用戦略がのみが反映されている状態のため、統計的な傾向と分析する事はできません。

また2025年に求められた日本関連のスキルのなかで、ブログ著者ものかんが「ニュージーランドで募集されるのは珍しいな」と感じたものには、以下のスキルが有りました。いずれも1事業者が1回求人を出しただけのいわゆる「一点もの」ですから、該当スキルを有していて、その道でキャリアを積みたいと考えている求職者には、そのスキルを評価してくれる場所が「ニュージーランドにはそこしかない可能性有」を意味します。
このような場合、求職者の立場では、求人事業者を特定し、「募集が出ていない時でも自分を売り込んでおく」というピンポイントな待ち伏せ戦略を取ることが有効になり得ると思います。

後編 業界・職種別 平均年収額へつづく
2025年のデータを見る限り、「日本語力・日本関連スキル=日本食レストラン」という構図は、「なんとなく知ってた」という感覚・印象ではなく、統計的な事実だと言えます。
しかし一方で、件数は限られるものの、IT、教育、医療、会計、営業、行政など、日本語や日本理解が評価される職種も確実に存在しています。
市場は狭いがゼロではない。むしろ「誰でも参入できる市場」ではない分、条件が合う人にとっては競争が緩やかなニッチ市場とも言えそうです。
当ブログの集計対象が、ニュージーランド国内で英語で募集されている「日本語力」を求める求人、および「日本に関連した知識、経験、技術」を求める求人にフォーカスしているため、必然的に「日本食シェフ」や「日本語教師」が多数を占める結果になることは予想できましたが、求人広告数は少なくとも予想を超える様々な職種で日本が求められていると感じます。
ここまでが、2025年における求人数・業界構成・職種構成の分析です。
次回の後編では、これらの求人が実際にどの水準の給与を提示しているのか、業界・職種別の平均年収を基に検証します。
「参入しやすい市場なのか」だけでなく、「どこまで収入を伸ばせる市場なのか」。
その点を数値で確認した上で、日本語力・日本関連スキルを使ったキャリアの現実的な期待値を整理します。







