第2四半期雇用信頼感が最低水準に落ちるも5月雇用者数は微増

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Westpac銀行 ニュージーランド第2四半期の雇用信頼感指数が3.9ポイント低下し過去2年間で最低の105.6であったと発表

簡単に言えば、「いい人材がいれば採用していこう!」という企業側の気持ちが、今回は過去2年間でもっとも萎えている結果だったという事です。

雇用信頼感指数(正式名称:Westpac-McDermott Miller Employment Confidence Index)は、Westpac銀行と、ウェリントンに本社を置くコンサル会社McDermott Millerが共同で実施している調査。

ニュージーランドの企業経営者を対象に、雇用計画、雇用状況、雇用動向などについて調査をおこなった結果をインデックス化したもので、100を超える数値は、楽観論者>悲観論者。100を下回る数値は楽観論者<悲観論者を示しています。

失業率が上がる前触れ

今回発表された雇用信頼感指数の中で注目を集めたのが「就職の機会」。
3ヶ月前の調査結果と比較して-11と大きく減少したことです。

企業経営者を対象にした調査で、就職の機会が減っているということは、「当社は雇用を控える」とした企業が大きく増えているという意味。

仕事を求める側からすれば、就職が難しくなってくる=失業期間が伸びる=失業率が増えるという流れで方向性を示す有効な手がかり。

ソース:Westpac

しかし、2023年5月の雇用指数は微増

雇用信頼感調査では「当社は雇用を控える」とした企業が大きく増えたにも関わらず、月次で発表されている5月のMonthly Employment Indicator (MEI:月次雇用指数)は0.2%増と、雇用の微増が確認されました。

さらにWestpacは、6月のMEIは労働年齢人口が0.6%増、雇用は約1%増になると予測しています。

労働年齢人口が急に0.6%も増えているのは、移民の流入が寄与しているのは確実ですが、それを遥かに上回る雇用1%増を見込んでいることから、いまも多くの企業が人手不足を解消できていない状態だと捉えることができます。

雇用信頼感指数の主な調査対象になっているニュージーランドの大企業は、自社のP/L と事業計画を眺め今後の景気減速を警戒して計画の見直しを行なったか、すでにヘッドカウントを埋めたなどの理由で求人は減っていくものの、中小企業ではまだ人材を確保ができていない企業が多くある。ということではないかと想像できます。

その場合、提示できる給与額も大手よりも条件が下がることもあるでしょうから、全体としては、やはり雇用機会や条件面などが少しずつ下りつつあるという認識です。

国の税収も、法人税収DOWN 源泉徴収UPが鮮明に

上記で述べた内容を確認するように、ニュージーランド政府から5月時点の税収が予想よりも22億ドル低い1,033億ドルだったとの発表がありました。

インフレの抑え込みを目的に、RBNZ(Reserve Bank of New Zealand: ニュージーランド準備銀行 = NZ中央銀行)がおこなった大胆な政策金利の爆上げで消費者の財布の紐が固くなり、企業の収益性が低下していることから、法人税とその他の個人税収が減少したとのこと。

唯一、予想を3億ドル上回ったのが源泉徴収だったようで、つまり失業者がより少なくなり、より多くの国民が働いているからこそ予想を上回る源泉徴収ができたということになります。
これはまさに、今ニュージーランドで起きている「利益と経済成長は減速」「雇用は堅調を維持」に他なりません。

今後の見通し

ニュージーランドの民間シンクタンク New Zealand Institute of Economic Research Inc (NZIER: ニュージーランド経済研究所)が2023年7月4日に発表したQuarterly Survey of Business Opinion (QSBO:四半期ビジネス意見調査)では、企業の59%(季節調整済みベース)が今後数ヶ月での一般経済の悪化を予想しているという調査結果になりましたが、これはむしろ第1四半期の63%からの改善でした。

しかし、調査を行った各社の取引活動をベースに捉えたアンケートでは、活動が減少したとの回答が前期の9.9%に対して13.2%と悪化。さらに、次の3ヶ月間で取引活動が更に減少すると回答した企業が16.7%にもなり、前回調査時の8.0%から倍以上に増えています。

雇用は改善を見せている、経済の先行きに悲観的な見方をするだけでなく、実際の活動ベースでも減少している企業が増えていることから、グローバル企業やローカル大手への就職や転職を考える方は門戸が狭まっている傾向が強いので急ぐと良いかも知れません。

またローカルの中小企業への就職や転職を考える方は、いま公表されているデータからは、すぐに大慌てで職を探す必要性は感じないものの、年末に向けて雇用の機会は先細りしていく未来しか見えないので、あまりのんびりしていると機会を逃すことになりかねないと思います。

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