生活支援 地震情報 ニュージーランドでの備え

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ニュージーランドは北島が火山活動、南島はプレートの衝突によって造成されており、日本同様に、地震や火山活動の活発な国なので、大地震は「経験するかどうか」ではなく、日本在住時と同様に「いつ経験するか」と捉えておくことが重要。

本稿では、ニュージーランド政府機関が発生確率75%と公表している巨大地震AF8と、ニュージーランド最大の震源とされる、ヒクランギ沈み込み帯をご紹介し、ニュージーランドで地震に備えるために知っておくべき諸々の情報ソースと災害発生時の注意点などをご紹介していきます。

  1. 50年以内の巨大地震発生率75%: AF8 – 国家緊急事態管理庁予測
    1. アルパイン断層地震の想定シナリオ動画
  2. 50年以内の巨大地震発生率25%: Hikurangi Subduction Zone – 国家緊急事態管理庁予測
    1. ヒクランギ地震と津波の想定シナリオ動画
  3. ニュージーランドの建築基準から見る地震リスクゾーン
  4. 情報収集
    1. アプリで確認
      1. GeoNet: ニュージーランドの地震と火山活動
      2. ニュージーランド赤十字社: 地震・津波・洪水などの災害アラート
    2. X (旧Twitter)で最新情報を収集
    3. ウェブサイトで情報収集
    4. 緊急放送対応ラジオ局
    5. TVステーション・ニュースメディア
  5. ニュージーランドで地震が発生した時の対応
    1. 日本ほどの早期地震警報システムはない
    2. 地震発生時:戸口から離れる or ドアを開けて避難経路を確保する
    3. 慌ただしく行動を促されても靴を履く
    4. 日本ではあまり聞かない要注意点:そこら中にある煙突が最も危険
    5. 津波 ‐ Long or Strong, Get Gone (地震が長いor強い時は逃げる)
    6. 緊急事態発生時の指示系統
    7. 避難場所
      1. 避難所の主なタイプ
  6. 緊急時の連絡先電話番号
  7. 在NZ公館による安否確認や迅速な援護を受けるために必要なこと
    1. 在ニュージーランド日本国大使館に聞いてみました
    2. 在留届の提出
    3. 提出済 在留届の内容に変更が生じたら
      1. 届け出における「転居」と「転出」の大きな違い
      2. 届け出における「帰国」は日本への帰国だけではない
      3. 在留届の内容を更新しないと生じる問題と迷惑
      4. 書面で提出した在留届を簡単にオンライン化する
  8. 最後に
    1. 住んでいる地域の自然災害リスクを全て把握
    2. あなたは大丈夫ですか?
      1. 避難袋(緊急時用品)の準備
      2. 「英語が苦手」な方
      3. ローカルメディアに触れる頻度が低い方
      4. 近所付き合いや地元コミュニティーとのつながりが薄い方
    3. 参加のお願い ー 情報の訂正・共有

近年、日本では想定マグニチュード9の南海トラフ地震などの巨大地震に備えよというメッセージを頻発して国民の意識を高めていますが、同じように、ニュージーランドでも通称AF8と呼ばれる巨大地震がいつ起きてもおかしくないというメッセージが多く発信されています。

AF8とは
ニュージーランド南島 西海岸側に600kmにおよぶ断層。これをアルパイン断層(Alpine Fault)と呼んでいます。*下記地図のオレンジ線1がアルパイン断層

ソース:GNS Science
ソース:https://af8.org.nz


このアルパイン断層はおよそ300年毎に大地震を引き起こしており、想定マグニチュードは8以上であることから、「アルパイン断層(Alpine Fault)地震想定マグニチュード以上」を略してAF8

次に断層が破裂する時、それはニュージーランド有史以来最大の地震になる可能性が高いとされています。
そして、アルパイン断層地震が最後に起きたのは約300年前の1717年です。

人の命を守るための注意喚起には、強烈なインパクトで人を行動に移させる語彙の使用が常ですが、ニュージーランド緊急事態管理・復興相(Minister of Emergency Management and Recovery)のMark Mitchell大臣は、ブリーフィングの中で、アルパイン断層地震が、早ければ「明日にも起こる可能性がある」と警告を受けています

ここでいうブリーフィングとは、政権交代や大臣交代のたびに役人が作成して担当分野に迫る問題点や課題を示すもの。今回は、2024年2月にMark Mitchell氏が緊急事態管理・復興相に就任するにあたり行われたブリーフィングで大災害が発生する可能性について「私たちが生きている間でなくとも、私たちの子供たちが生きている間に起こる可能性が非常に高い。明日起こるかもしれず、壊滅的な地震であれば、数万人が死亡し、数千億ドルの被害が出る可能性がある」という内容が述べられたという事です。

またNational Emergency Management Agency (NEMA:国家緊急事態管理庁) は、今後50年の間にアルパイン断層地震が発生する確率は75%。マグニチュード8以上になる確率は82%だという科学者による調査研究結果(英語字幕付き解説動画)を基に国民の注意喚起を促しています。

アルパイン断層地震の想定シナリオ動画

このAF8シュミレーションは、カンタベリー大学のBrendon Bradley研究グループがスーパーコンピュータBlueGenePを使い、、M7.9の地震が発生したというシナリオで行ったものです。音声はありませんが地震発生後、どのように南島全域に地震が広がっていくのかを見ることができます。

ニュージーランドド北島の東海岸沖にある国内最大にして最も活発な2枚のプレート(オーストラリアンプレートと太平洋プレート)が衝突し、下にある太平洋プレートが沈み込んでいる場所。それがHikurangi Subduction Zone(ヒクランギ沈み込み帯)です。

ソース:https://www.stuff.co.nz/national/nz-earthquake/109833727/scientists-prepare-for-hikurangi-subduction-zone-faultline-to-rupture-in-future

ヒクランギ沈み込み帯では「スロースリップ」と呼ばれる、通常の地震と比べてゆっくりとした断層のすべり現象が確認されており、2016年には東京大学京都大学東北大学も参加して海底地殻変動観測を行うなど研究が行われています。

このヒクランギ沈み込み帯は科学者の間でニュージーランドにおける地震と津波を引き起こす最大の発生源だと考えられており、下記の大地震は全てヒクランギ沈み込み帯によるものだそうです。

2016年 Te Araroa地震M7.11934年 Pahiatua地震M7.1
2001年 East Cape沖地震M7.11931年 Hawke’s Bay地震M7.1
1995年 East Cape沖地震(2回)M7.5とM7.11904年 Cape Turnagain地震M7.1
1947年 Gisborne地震と津波M7.11863年 Hawke’s Bay地震M7.5

2011年の東北地方太平洋沖地震の時も、本震発生の1ヶ月前から本震の震源域内でスロースリップが発生していたことや、甚大な津波被害の一因として本震時にスロースリップ域が再び30メートルを超える大きなすべりが観測されていてことが挙げられているようです。

下記の動画はニュージーランド政府関連機関で、地質調査・地球科学・鉱物探査・自然災害リスク評価などの分野で研究を行っているGNS Scienceによるヒクランギ地震と津波の想定シナリオ。

動画は、北島東岸ホークス・ベイ地方に位置するネイピアから116km南下した町、ポランガハウの沖70kmを震源とするM8.9の地震が発生したという設定で始まります。

2016年のカイコウラ地震 (M7.8)の45倍相当のエネルギーが放出され、動画内で紹介されている画像を基にするならギズボーンは壊滅的な状態になり、揺れは90秒後にはウェリントンに到達。また遠く離れたオークランドでも30秒間程の揺れを感じるだろうとのこと。

同時にホークス・ベイなど一部海域では海面が上昇するも直ぐに大引となり、その後10m-20m級の津波が押し寄せると解説しています。

また、在ニュージーランド日本国大使館が2024年3月に改訂した「安全の手引き ニュージーランド」には、ヒクランギ断層の活動を起因とする津波が発生した場合、津波は約10分でウェリントン中心部(CBD)に到達すると記して注意を促しています。

注意:動画の3分14秒辺りからおよそ20秒間にわたり、2011年 東北地方太平洋沖地震の津波の様子も映し出されます。予期せず過去の不快な記憶が想起される方や、体調が悪い場合には途中でも視聴を控えることをお薦めします。

ソース:GNS Science
動画の0:40辺りから想定シナリオの説明が始まります。

ニュージーランドの建築基準では、国土を4つの地震リスクゾーンに分けています。
高リスクゾーン(Zone4)は、低リスクゾーン(Zone1)にある建築物よりも厳しい要件に従わなければならず、設計する際に考慮される地震の揺れのレベルは、歴史的な地震活動と、既知または予想される活断層からの距離に関連しているので、Building Research Association of New Zealand(BRANZ:ニュージーランド建築リサーチ協会)が用意している地震リスクゾーンマップを見ることでも、国があなたの住んでいる地域にどれほどの地震リスクがあると考えているのか推し測る事ができます。
*マップは耐震建築基準のゾーニングです。津波リスクは考慮されていません。

ソース:ニュージーランド建築リサーチ協会HP
https://www.seismicresilience.org.nz/topics/seismic-science-and-site-influences/faults/earthquake-risk-zones/

このような状況を受けて、本記事ではニュージーランドで地震に備えるために知っておくべき諸々の情報ソースと災害発生時の注意点などをご紹介していきます。

信頼のおけるソースから情報を得ることを大切にしてください。
さまざまな情報で溢れ返る現代においては、それが極めて重要になります。X(旧Twitter)やFacebookなどのソーシャルメディアから流れてくる有象無象の情報を全て鵜呑みにして右往左往するのではなく、確度の高い情報を得たのちに自身の頭で判断し・心で決断し・行動にうつす力が求められます。

そもそもニュージーランドで体感する程の地震ってそんなにないでしょ?という方がいるなら、まずはGeoNetというアプリをダウンロードしてどれほど頻繁にニュージーランドで地震が起きているか?というところから見てみると考え方が変わるかもしれません。

GeoNetは、ニュージーランド自然災害研究を行っているToka Tō Ake EQC と、地質調査・地球科学・鉱物探査・自然災害リスク評価などの分野で研究を行っているGNS Science(共にニュージーランド政府関連) によるコラボレーションで誕生した機関。

そのGeoNetが公開しているアプリを通じてニュージーランドの地震と火山活動を確認し、カスタム通知と速報を受け取ることができます。

Geo Net アプリ 私がアプリを確認したタイミングでは2週間で14回もの地震を観測していました。

GeoNet リンク
ウェブサイト:https://www.geonet.org.nz
アプリ ダウンロード: iPhone Android

ニュージーランド赤十字社が提供しているハザードアプリ。
National Emergency Management Agency(NEMA: 国家緊急事態管理庁)とCivil Defence Emergency Management Group(CDEM:  民間災害緊急事態管理グループ)からの信頼できる情報を使用してニュージーランド国内の地震、津波、洪水、その他の災害に関するアラートを送信。

ニュージーランド赤十字 リンク
ウェブサイト:https://www.redcross.org.nz サイト内のアプリ紹介ページはこちら
アプリ ダウンロード: iPhone Android

自然災害等による命の危険が伴うような緊急時における情報収集に際しては、情報源がハッキリしていて信頼できるアカウントをフォローするよう心がけ、また真偽を自ら判断する力を養うことが求められます。

GeoNet公式アカウント ‐ 地震、火山、津波、地滑りを監視。マグニチュード 3.5 以上の地震を自動発信
National Emergency Management AgencyNEMA公式アカウント ‐ 国家緊急事態管理庁からの緊急事態および災害に関する最新情報を発信
Get ReadyこちらもNEMAが運営。災害発生前に人命や財産を守るために必要な被災予防情報を発信
*政権交代の前後でポストが止まっています。
AF8アルパイン断層(Alpine Fault)の危険性と断層影響に関する科学と備えに関する情報を広く共有することを目的とした活動を発信
NZTANZ Transport Agencyによる国土交通関連情報を発信 (道路閉鎖等)
緊急速報メールの対応機種の確認および受信設定(日本語訳)Get Ready
家族の防災計画に役立つPDFテンプレート日本語版: Get Ready 英語版: Get Ready
検索: 最寄りのCivil Defence Emergency Management Group (民間災害緊急事態管理グループ) National Emergency Management Agency
検索: 心停止の人を救命する医療機器AEDの設置場所AED Locations
確認: 緊急事態情報全般National Emergency Management Agency
確認: 高速道路の状況NZTA Journey Planner
確認: 津波避難区域Get Ready
確認: モバイル通信接続状況Spark & Skinny | One | 2degrees
確認: 水道の状況Auckland | Christchurch | Wellington | North District | Dunedin | Thames & Coromandel District
確認: 停電の状況Far North | Northland | Auckland | Counties| Hamilton/ Waikato Cambridge | Waitomo | Eastern Bay of Plenty | Coromandel, Thames, Tauranga | Gisborne/ East Coast/ Wairoa | Rotorua/Hawke’s Bay |  Taranaki/Manawatu-Whanganui | Horowhenua/Kāpiti | Wellington | Marlborough | Nelson City | Tasman | West Coast South Island | Christchurch/ Central Canterbury/ Wigram | Kaiapoi/ Rangiora/ North Canterbury | Ashburton/Mid Canterbury | Timaru/Waimate/ South Canterbury | North Otago | Central Otago/ Dunedin/Queenstown | West Otago/Southland/ Invercargill/Stewart Island
確認: 天気予報MetService
確認:潮の満ち引きMetService
日本語での情報大規模災害発生時、在NZ日本公館(大使館領事館)でも危険情報の発出等、退避方法についての情報を提供して避難を支援するようです。
リンクの掲載がない地域は、探したけど見つからなかったか、記載漏れのいずれかです。ご存じの方がいたら、本稿最下部のコメント欄または、お問い合わせ、またはXを通じて共有してくださますようお願いします。

ラジオ局の周波数は地域によっても異なるため、ここではオンラインで提供されているライブストリーミングのリンクを貼っておきますが、当然のことながら、実際に緊急事態が発生した際はオンラインだけでなく、カーオーディオなど一般的なラジオ受信機からも視聴できます。

More FMLIVEストリーミング
Radio New ZealandLIVEストリーミング
The Hits LIVEストリーミング
NewstalkZBLIVEストリーミング
1Newshttps://www.1news.co.nz
Newshubhttps://www.newshub.co.nz/home.html
*2024年6月末サイト閉鎖予定
Stuffhttps://www.stuff.co.nz
NZ Heraldhttps://www.nzherald.co.nz

日本で育った方なら、「テーブルの下にもぐって頭を守り、揺れが収まるまででてこない」という基本をはじめ、地震に対する理解度や経験値などを含め、地震の時にどう行動すべきなのか、より良く分かっている事が多いと思います。

ニュージーランドで大地震が発生したら、建物の中にいる多くの人が慌てて戸外に飛び出していく姿を見るかもしれませんが、ニュージーランドでも「DROP, COVER, HOLD」が地震発生時の基本対応だとし、外に飛び出すことはガラスの破片やレンガ等が崩れ落ちてくる危険があると説いています。

集団心理に惑わされることなく冷静な状況判断を心がけてください。

2024年1月に起きた能登半島地震では、地震が発生する直前に揺れに備えるよう携帯電話に警告がでたそうです。

ニュージーランドにも緊急速報メールが導入されていますが、国土に対する人口密度の低さと人口分布、観測網の規模の小ささ、そして国家予算と地震の発生頻度などが絡み、誤報による信頼の失墜が人々の命をさらなる危険にさらすリスクが有るなどとして、早期警報を含め緊急速報の「速度」には慎重を期しているようです

言い方を変えれば、たとえ大地震後に警報や速報が出ていないからと言って、「差し迫って危険はない」と考えてはいけないという事です。

日本では地震発生時にドアを開けて避難経路を確保する事が基本だと言われますが、ニュージーランドでは「ほとんどの住宅は戸口の耐震性が低く、急にドアが開いてケガをする危険性がある」とのことで、地震発生時は戸口から離れる事が推奨されています。(Get Ready ‐ 事前の備え参照

ものかん
ものかん

確かに強い力をかければドアはすぐに空いてしまう気がします。
が、壁もすぐに穴が開くようなプラスター素材だったり、レンガのようなブロック塀のようなものだったりが多いと思うので、崩れて避難経路が塞がれてしまう前に迅速にドアを開けて経路を確保するのが重要な気もします。

住んでいる建物の構造や状態をみて、どちらが安全なのかを判断する必要があるのでしょうが。。。

うーん、読者にニュージーランドの大工や建築家など専門の方がいたら見るべき箇所や判断ポイントを教えていただきたいですね。

地震発生中や発生直後などは行動を促されて焦ってしまう場面があるかもしれませんが必ず靴を履いてください。ニュージーランドでは常日頃から土足で出入りしている家も多いので、家の中でも靴を履いている、または靴が自分のすぐ近くにある人に比べ、日本で育った方の家は玄関付近に靴を並べたり、靴箱にしまっておくなど、少しの差かもしれませんが、靴を履くまでの時間が遅れるケースがあります。一緒にいる人がすでに靴を履いていて行動を促してきても、まずは靴を履いてください。

ニュージーランドに住んでいる方なら御存知の通り、この国の多くの家には今も暖炉があり煙突があります。地震ではその煙突にひびが入ったり、ずれたり、屋根を突き破って倒れたり、外側に落下したりする危険性が高いようで、地震発生時に最も危険な損壊物の一つが煙突だそうです

また専門家は地震後、煙突が損傷していないように見えるからといって、強風や余震に耐えられると思わないでほしいとも警告しています。

Almost all older chimneys could be at risk after quake
Just about every house in Christchurch with an older brick c...

ニュージーランドの海岸線は、すべて津波の危険にさらされているため、国は地震発生時のルールとしてLong or Strong, Get Goneを標語に掲げ、海岸近辺で下記の現象が発生したら、すみやかに最寄りの高台、あるいはできるだけ内陸部へ移動することの徹底を呼びかけています。

  • 立ち上がれないほど強い地震の揺れ、または1分以上続く揺れを感じた。
  • 突然、押し波または引き波が発生する。
  • 海から聞きなれない大きな音がする。

その場に居留まって警報の有無をネットで確認する等してはいけません。

在ニュージーランド日本国大使館がNZ訪問・在住邦人向けに用意している「安全の手引き ニュージーランド」には、「当地では、津波を警告するサイレンはありません」としてあります。

別の記述では、「近海で発生する津波は、警報を発する間もなく、数分で海岸線に達する」と書かれていました。

海岸近辺で上記の現象が発生したら、ネットで津波リスクを確認する時間はなく、警報サイレンもならないので、周辺にいる人々がどのような行動をとっていたとしても、自分自身を信じて速やかに行動に起こす必要があります。

在ニュージーランド日本国大使館発行 安全の手引き ニュージーランド から、「津波からの避難」を抜粋して転載しておきます。

  • ビル等にいる場合は、上の階に避難するのも選択肢の一つですが、その場合は最低5階
    以上の高さに避難
    してください。なお、ビル内で避難する場合、ビル損壊や、ビルから
    出られなくなるリスクがありますので、その場の状況を踏まえて、適切かつ素早く判断
    することが重要です。
  • NZ近海の断層を起因とする津波が発生した場合は、NZ本土に到達するまでの時間
    は非常に短く、肉親や友人を探している間にも津波は押し寄せてきますので、日本の
    「てんでんこ」*は当地でも重要です。家族の中で津波発生時の避難方法について日ご
    ろより話し合っておくことをお勧めします。
    *てんでんこ:津波が来たら、取る物もとりあえず、各自テンデンバラバラに一人で高台に逃げることが重要、という考え方。
  • 高台への道に“Tsunami Safe Zone”と記された青い線がある場合は、その線よりも高い
    ところまで逃げてください。
Tsunami Safe Zoneサインはこんな感じ: 写真ソース https://teara.govt.nz/en/photograph/46838/tsunami-safe-zone-sign

最後に、日本の熱海市がイラスト入りでわかりやすく「津波の基礎知識」としてまとめたPDFがあったのでこちらをご覧ください。この資料によると、1mの津波に巻き込まれた際の計算上の死亡率は100%だそうです。

ニュージーランドで緊急事態への対応を指揮するのは、その規模により異なりますが、およそ以下のような形になります。

小規模通報を受ける機関(例:111通報なら、警察、消防、救急)が対応
中規模State of local emergency(地域別緊急事態宣言)が宣言された場合は、対応権限がCivil Defence Emergency Management Group(CDEM: 民間災害緊急事態管理グループ)に移権され、地域の自治体と共に事態に対応。
大規模緊急事態管理・復興大臣がState of national emergency(国家緊急事態宣言)を宣言すると、首相直属の機関である、National Emergency Management Agency (NEMA:国家緊急事態管理庁)が政府機関、地方自治体、民間組織との連携を図り、情報収集、分析、発信、対応計画の策定、資源配分と被災者への支援などを決定し、CDEMが指揮を執る形で対応。

深刻な状況で避難が必要になった際、どこに避難すればよいのか?

国や地方自治体が避難場所を用意するのかどうかはダメージの激しい地域はどこか等の被災状況によるため、どこが避難場所なのかは常時公開しておらず、ここでも具体的な避難場所を明記することは叶いません。

お住まいの地域を管轄する地方自治体およびCivil Defence Emergency Management Group (CDEM: 民間災害緊急事態管理グループ)が、避難場所についての最新情報を提供するのでそちらで確認するようにしてください。

避難場所の明記はされていませんが、開設される避難所は主に以下の3タイプに分かれるようです。
無論、開設場所はここに記載してある限りではないので、必ず地方自治体およびCivil Defence Emergency Management Group (CDEM: 民間災害緊急事態管理グループ)のサイト、FacebookページまたはXにて最新情報を確認してください。

主な特徴主な開設場所主な滞在期間
Civil Defence Centres (CDC)大規模な地震発生時に開設され、食料、水、医療用品などの基本的な生活必需品が提供学校、コミュニティセンター、公園
数日から数週間
*被害状況や復旧状況によって変動
SheltersCDCよりも規模が小さい。
食料、水、医療用品などの基本的な生活必需品が提供
公共施設
民間施設
数日
CDCへの移動や自宅への帰還までの間
Community Emergency Hub地域住民主導で運営する避難場所(多くの場合、所属する自治体に事前登録されている場所)
食料、水などの基本的な生活必需品がタイムリーに提供されることは考えにくいため各自で用意すると理解した方が良い。また情報収集や支援活動の拠点としても利用可。
地域の集会所(教会、スポーツクラブ、ホール等)数時間から数日
命の危機に直面している場合:警察・消防・救急111
聴覚、聴覚または言語障害者として登録された方はテキスト111
非緊急事態下での警察通報
避難場所等で敵意や偏見に動機づけられた虐待、暴力、脅し、脅迫などのヘイトクライムを経験した場合の警察通報もこれ。(命にかかわる場合は111)
105
交通事故専用の警察通報(命にかかわる場合は111)555
在ニュージーランド日本国大使館04 473 1540
在オークランド領事館09 303 4106
在クライストチャーチ領事事務所03 366 5680
ACC(Accident Compensation Corporation)   0800 101 996
Healthline (政府関連機関)
24時間無料電話医療相談サービス
0800 611 116
WATIS Interpreting Service 09 442 3211 内線2211

オンラインで在留届を提出し、名前や住所が変わった、家族が増えたなどの更新を随時行う。

それだけです。

あなたや家族が在ニュージーランドの日本国籍保有者でありながら、日本国に在留届を提出していない状態で大地震等の緊急事態が発生した場合、在ニュージーランド日本国大使館などの在NZ公館は、あなたや家族が「ニュージーランドに住んで居る」事を把握していないため、あなたやご家族の安否確認は行われません。

あなたと家族が在留届を提出することで在NZ公館は安否確認のための行動を起こせるようになり、またメールによる通報や迅速な援護を行えるようにもなります。

在NZ大使館
在NZ大使館

緊急事態発生時、在外公館は、滞在する日本人の安否確認に最大限の努力を払います(3か月以上滞在する場合は必ず在留届を提出してください。短期旅行者の方の場合、把握が困難ですので、在外公館及び家族等へ無事であることの連絡をしてください。)

ものかん
ものかん

大規模災害時の安否確認は具体的にどう行われますか?

在NZ大使館
在NZ大使館

外務省では、「安全状況等確認システム」を運用しています。

このシステムは、事前に在留届やたびレジに登録いただいた方々に安否確認アンケートを送付し、これに回答をいただくことで、在外公館が皆様の安全状況を正確に把握するものです。

ものかん
ものかん

大規模災害による緊急事態発生時に、どのような援護を受けられますか?

在NZ大使館
在NZ大使館

・邦人の被害者がいる場合には必要な支援を行います(例:緊急移送のため関係機関などへの連絡)

・インターネットを通じて情報を提供

・避難を支援します(例:危険情報の発出等、退避方法についての情報提供)

*在外公館で退避費用の負担はできませんが、現金などの持ち合わせがない場合はご相談ください。

外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、「在留届」を提出することが日本の法律で義務付けられていますし、オンラインで提出できるので、未提出の方は届け出を行いましょう。

安否確認を行うとの視点に立てば明白ですが、住所や氏名等の届出事項に変更が生じた場合は届け出が必要です。
在留届の提出をオンラインで行った方は、変更もオンラインで完結できますが、書面で提出した方は、書面で変更を届け出なければなりません。

書類ダウンロード(注:オンラインで在留届を提出した方はオンラインで変更)
変更届:転居などによる在留届の記載内容の変更、同居家族の追加・削除。
帰国・転出届
リンク先:在ニュージーランド日本国大使館ウェブサイト

在NZ公館(在ニュージーランド日本国大使館、領事館、領事事務所)には、それぞれの管轄地域があり、その管轄地域を基準にして、「転居」と「転出」が次のように定義づけられています。

:同一在NZ公館が管轄する地域内での移動
:管轄地域外への移動
(日本への帰国等も含む)

参考例
オークランドからハミルトンへ引っ越した場合:「転
どちらの都市も、在オークランド総領事館の管轄地域なので「転」届け

オークランドからウェリントンへ引っ越した場合:「転
管轄が在オークランド総領事館から在ニュージーランド日本国大使館に変わるため「転」届け

クライストチャーチから日本へ本帰国した場合:「転
在クライストチャーチ領事事務所の管轄から離れて日本へ本帰国するため「転」届け

迅速な安否確認を行うとの視点に立ち返ると、これを誤ると例えば、被災地に滞在しているあなたや家族が、在留届の上では管轄地域にいない事になっていて安否確認がされないという事態が想定できます。

「帰国」とは、ニュージーランドから永久的に出国する事を指しており、日本への帰国だけでなく、例えば生活拠点をオーストラリアへ移す再移住なども「帰国」になります。

ここまでにも何度か書きましたが、在留届提出時と現在の住所や氏名が違う場合、内容を更新しないと、あなたの安否確認がとれないことになります。

これが問題かつ迷惑な話なのは、「あなたの安否確認がとれない」だけにとどまらないところです。

あなたの在留届提出時の住所が被災地で、そこから既に引越していた場合、震災の影響を受けていない場所でいつもと変わらぬ日常を過ごしているあなたの安否確認に時間をとられ、実際に被災地及びその周辺地域に滞在している人々の安否確認作業が遅れる事になりかねないのです。

書面で提出した在留届の変更は、やはり書面で行わなければならないため、オンラインに移行するのが良いと思われます。

オンラインへの移行は非常に簡単で、下記の2ステップだけで完了します。

  1. 外務省オンライン在留届で新規アカウントを作成して在留届を提出
  2. 管轄地域の在NZ公館にオンライン提出を行った旨を連絡

しかし、この2つのステップは、一見するとStep1だけで良さそうに見えませんか?

Step2は、オンライン登録と昔の書面登録を統合する重要な手続き。新規オンライン登録と昔の書面登録の重複を避けるという意味もあるでしょうが、ニュージーランドでの在留期間を正確に証明するために、在留届の受付日(滞在期間の起算日)を元々の、書面の受付日に変更してもらうための、重要な手続きです。

*Step2を行った場合:書面で在留届が受け付けられた日をNZ在留第1日目とカウント
*Step2を怠った場合:オンライン在留届の受付日をNZ在留第1日目とカウント

オンライン化を行った後は、必ず管轄地域の在NZ公館にオンライン提出を行った旨を連絡してください。

一例として、10年前に書面で在留届を提出済みの人がこの度オンライン化を行い、ステップ2を怠ると、本来なら10年以上連続でNZに住んでるのに、オンライン化の受付日がNZ在住1日目となり、下記のような恩恵を得られる資格を失います。

● 日本の一時帰国時に免税購入ができるようにするために必要な書類
海外在留期間が連続2年以上であることを証明する書類→在留証明(有料)

JR Passの購入資格
海外在留期間が連続10年以上であることを証明する書類→在留届の写し(無料)または 在留証明(有料)

在留証明 = 在留届を提出/受付されてからの滞在期間

注)「在留届の写し」は「免税購入のための在留証明」にはならないとの記述が在メルボルン日本国総領事館在ロサンゼルス日本国総領事館のサイトにあります。確認日:2024年2月21日

在留届 提出外務省オンライン在留届
在留届 変更(転居・転出)在留届をオンラインで提出した方外務省オンライン在留届
在留届を書面で提出された方変更届
帰国・転出届
書面の提出方法管轄在外公館宛にメール 大使館 | 総領事館 | 領事事務所
在留届オンライン化の報告管轄在外公館宛にメール 大使館 | 総領事館 | 領事事務所
在留届 変更(転居・転出)と在留届オンライン化の報告は連絡先メールアドレスがそれぞれ異なるので注意!

本稿では「地震」と、それに連動して発生する「津波」に焦点を当てましたが、ニュージーランドで発生しうる自然災害リスクは他にも「洪水」、「噴火」、「地滑り」があります。

Toka Tū Ake EQC(政府関連機関)によるポータルサイトでは、ニュージーランドを15の地域に分け、地域ごとにどのような自然災害リスクが有るのかがまとめられており、また具体的に地域の中のどこにリスクが存在しているのかが把握している範囲で可視化され地図上にまとめられています。

災害はいつ起こるか分かりません。
が、起こるか、起こらないかではなく、起こる事を前提に、地震への備えが必要であり、また緊急時の連絡先や避難場所を確認しておくことが重要です。

NEMAが運営する被災予防情報サイトGet Readyには多くの情報が日本語訳されて掲載されています。この中に、「非常時には3日間以上自宅から動けないこともあるため、必要な物資を明らかにして備えよ」として、滞在場所ごとに備えるよう促している項目があります。(全て日本語記載)

また、特に防災用保存水の確保が重要だとし、飲用と衛生用に十分な量は1日一人3リットル。これを最低3日分以上用意しておく事が推奨されています。

持ち出し袋の中身については、Ger Readyよりも、在ニュージーランド大使館の安全の手引き ニュージーランドの「緊急事態に備えてのチェックリスト」の方がより丁寧なリストなので、こちらを参照することをお薦めします。

ソース:在ニュージーランド大使館 安全の手引き ニュージーランド PDF11ページ「Ⅴ 緊急事態に備えてのチェックリスト」

厳しいようですが、「緊急」の度合いが高いほど、立ち止まり、あなたの言葉に耳を傾けて理解する努力をし、丁寧にわかり易くゆっくりした英語であなたに状況を説明する姿勢を見せてくれる人は少ないと考えたほうがより現実的。地震が起こる事を前提に、あなた自身や家族を守るために全方位での備えが必要です。

被災時に人々が求めることの一つに「正確な情報」があります。メディアだけではありませんが、正確な情報を得られる情報源をきちんと把握しておくことが極めて重要。本稿では正確な情報を得るためのソースをまとめているので、お気に入りに登録するなどをお薦めします。

被災時に限って「困難な状況でも、力を合わせて乗り越えよう」と団結の姿勢を見せている人々の中にあなたの居場所を見つけることができるでしょうか?
助け合いが必要な時に蚊帳の外になってしまわないよう、ふだんの振る舞いや、近所との関わり方を再考してみるべきかもしれません。

本稿では、政府関連機関を中心に、信頼できると判断したサイトを可能な限り広範囲に渡り読み、また、そのうちの数カ所には質問状を送り得た回答などを基に情報の集約を試みました。

しかし、記述に誤りを見つけた方や、記載しておくべき情報をお持ちの方は、誤情報や情報不足による災害時のリスク高を軽減するためにも情報共有をお願いします。

本稿に関する情報の訂正、共有は下記4つの方法いずれかからお願いします。

  • 本稿最下部の「コメントを書き込む」から投稿(即時一般公開‐ 当サイト上)
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ものかん
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ご連絡いただく内容は、その正確性が担保されていると判断したものについてのみ訂正・掲載をいたします。ご連絡頂く際は、必要に応じてURLなど、情報ソースを明記いただきますようご協力のほどお願いいたします。

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