ニュージーランド 年齢別 平均週給

お金

人生において将来の計画を立てる際、収入の見通しを持つことは非常に重要ですが、それが日本や他の諸外国からニュージーランドに越してきたばかりで情報の少ない移住者であればなおのこと、父母、祖父母の代に移住してきたニュージーランド生まれの二世や三世の方であっても、現代ニュージーランドで年齢と共にどのように給与が変化していくのかを大まかにでも把握しておくことは、キャリアプランや自身のファイナンスを具体的に計画立てるために不可欠です。

なぜなら給与の傾向や年齢別の収入データは、私たちの生活水準、将来の目標、そして日常生活の選択に直接影響を与える情報なので単に「へぇー」と眺めて終わらせるべき数字ではないからです。

本稿が、皆さんがご自身の給与と比較したり、将来の見通しを立てたりする際の参考になれば幸いです。

ニュージーランドの平均週給: NZ$1,429 = NZ$74,308/年

最も稼ぐ年齢 45~49歳:平均週給NZ$1,733 = NZ$90,116/年

最も低収入の年齢 15~19歳:平均週給NZ$544 = NZ$28,288/年

しかし20代になると所得平均は約NZ$400も伸びている

それでも20代は60代の平均週給額に劣る

本稿は2024年7月8日付けのNew Zealand Heraldに掲載された下記記事のデータを基に執筆しています。

Wage by age: How much should you be earning?
The data collected by Statistics NZ have been sorted into ag...

New Zealand HeraldがStats NZの2023年のデータを取りまとめた年齢別 ‐ 税引き前平均週給がこちら。


この平均週給全体をながめて、また自身が該当する年齢郡をみて、人それぞれ心に浮かんだ印象があるかと思います。

この平均週給額はグラフにあるように10代から、例えばフォンテラやニュージーランド航空のCEOなどビジネス界の実力者まで老若男女問わず、ニュージーランドで給料を得ている全ての人が含まれている「平均」週給です。

IRDの計算ツールで税引き後の手取額を算出したのがこちら。

ニュージーランド平均週給 NZ$1,429
Tax code:M
KiwisaverおよびChild support deduction: $0

PAYE: NZ$234.24
手元に残る金額: NZ$1,193.76/週
*課税期間:2024年4月1日~2025年3月31日

今回のデータで、ニュージーランドで最も稼いでいるのは45~49歳の年齢層で平均NZ$1,733/週である事がわかりましたが、あえてこれを悲観論者の視点でみると下記のように表現できます。

「給料の上昇は49歳でピークを迎え、その後、収入は下り坂になる」

転職で昇給を目指すのが一般的なニュージーランドでも50代以降の転職や再就職は減給を覚悟する必要があると捉えて良いかもしれません。

IRDの計算ツールで税引き後の手取額を算出したのがこちら。

最も稼ぐ年齢 45~49歳の平均週給 NZ$1,733

Tax code:M
KiwisaverおよびChild support deduction: $0

PAYE: NZ$293.30
手元に残る金額: NZ$1,439.70/週
*課税期間:2024年4月1日~2025年3月31日

AIにニュージーランドの平均的な1ヶ月の生活費を半ば無理やり計算させて、IRDの計算ツールで算出したニュージーランドで最も稼ぐ年齢 45~49歳の平均週給の手取り額: NZ$1,439.70と併せてまとめた表がこちらになります。

ケース手取り月収生活費残額(貯蓄可能額)
大人 2人$6,233.82$4,550$1,683.82
+子供1人$6,233.82$5,450$783.82
+子供2人$6,233.82$6,350-$116.18
通貨単位:NZドル

生活費の内訳は下記のとおり。

平均生活費合計(下記は内訳)$4,550/月子供がいる場合の生活費は
1人につき$900/月 追加
家賃$2,500
食費$700$150/人
公共料金(水道、電気、ガス)$200$50/人
通信費(インターネット、携帯電話)$150$50/人
交通費(公共交通機関、車の維持費)$300$100/人
保険(健康保険、車の保険など)$150$50/人
娯楽・習い事・交際費$300$100/人
その他(医療費、日用品、服など)$250$100/人
教育費(保育料、学校関連費用)$300/人
通貨単位:NZドル

生活費は地域や生活スタイルで大きく異なるので、あくまでもAIが出した一例と捉えてみていただきたいですが、このケースではニュージーランドで最も稼ぐ年齢 45~49歳の平均週給1人分のNZ$1,733だけでは、パートナ1名と子供2名を養う事はできない結果になっています。
*このケースはKiwiSaverにも加入していません

多くの人にとって人生で最も高額なショッピングとなるのが不動産。
過去長らく様々な経済要因による住宅価格の高騰が見られていたニュージーランドの2024年6月の全国住宅平均価格は77万ドル。そして2024年現在ニュージーランドで住宅ローンを組むためには購入価格の20%以上(1st ホームバイヤーズプログラムを利用する場合は10%以上)の頭金が必要とされているので平均価格の住宅を購入するためには最低でも15.4万ドルまたは7.7万ドルの貯蓄が必要になります。

ニュージーランドで最も稼ぐ年齢 45~49歳の平均週給1人分のNZ$1,733で、これを貯めようとした場合にかかる年月をインフレを考慮せずに上記の表を基に単純計算してみると次のようになりました。

ケース:手取$6,233.82/月月々の残額
(貯蓄可能最大額)
$15.4万貯める$7.7万貯める
大人 2人$1,683.82約7.6年約3.8年
+子供1人$783.82約16.4年約8.2年
+子供2人-$116.18 (要Wインカム)貯蓄不可貯蓄不可
通貨単位:NZドル

子供が二人いる世帯は副収入を得るソースを持つことが必須となります。
また日本人など他国からニュージーランド移住者であれば、わかりやすく日本への一時帰国諸費用なども生活費に加算されてきますし、一時帰国でなくとも旅行や趣味に使うお金等があるでしょうから、実際に頭金を貯めようとするとより多くの年月がかかると見てよいと思います。

頭金を用意して年利6%の30年ローンを組んで住宅を購入したとすると、生活はどのように変わるのかAIに計算させてみました。
*実際には年利6%の30年固定はあり得えない&返済方法も1つではないので、あくまでもイメージがつきやすいよう計算上の便宜と捉えてください。

住宅価格:77万ドルローン額利率ローン期間月々の返済額
頭金$15.4万$614,000年利6%30年約 $3,681.24
頭金$7.7万$693,000年利6%30年約 $4,154.89
通貨単位:NZドル

この状態で改めて住宅を購入した場合の生活費をみると、

従来の生活出費項目にあった家賃$2,500がなくなり、
代わりに上記のローン返済(約$3,681.24または約$4,154.89)が加わり出費は増加します。

また他にも、RATESや水道料金、住宅メンテナンスにかかる固定諸費用が新たに生じるため、AIの計算よると、上記のケース(頭金$15.4万を支払い77万ドルの家を購入)で生活に必要な月々の出費は大人2人の場合で約6,550ドル、子供がいる場合は人数に応じてさらに+900ドル/人 と計上されました。

つまり、ニュージーランドで最も稼ぐ年齢 45~49歳の平均週給NZ$1,733をもってしても、ニュージーランドの平均価格の住宅を1人の手取りだけで購入・維持することは事実上不可能ですし、購入以前にローンの審査が通らないでしょう。

日本から裸一貫でニュージーランドに移住して生活を落ち着かせて住宅購入の計画を立てるなら、パートナーが居る世帯は専業主夫/主婦ではなく家計はWインカムの形が必須であり、昇給を目的とした転職や給料交渉を積極的に行うと同時に、家事も子育ても50/50で分業する重要性を正しく認識し、それぞれが複数の収入ソースをもつことを心がけて貯蓄していくことが肝要です。

15~19歳を収入を得る社会人として見た場合、これから知識や経験、資格など積み上げていく年齢層で、多くは社会人予備軍のような存在です。日本風に言うなら学業に取り組みながらアルバイトで社会の一端を垣間見ているような年齢ですから、この年齢層が最も収入が低い事に驚く人は少ないと思います。

そして20-24歳の層になると平均週給は10代のNZ$544からNZ$972と400ドル以上も平均週給が跳ね上がっていますが、これも日本風に言うなら、在学生から学校を卒業した第二新卒者あたりが該当する年齢としてみれば、アルバイトから正社員や契約社員などへの移行期、早い人で初めての転職または起業と見れば、これもさもありなんといったところでしょうか。

ここで複雑な気持ちにさせるのが、20-24歳の平均NZ$972、25-29歳の平均NZ$1,307、いずれと比べても60代以上の平均週給NZ$1,382のほうが高いこと。

主要消費イベントにともなうローンなどの支払いを既に終えて借金ゼロだったり、または完済のゴールが見えつつあるような世代の平均収入に、これから人生のパートナーと出会い、家庭を持ち、車を買い、家を買うなど、資本を必要とする世代の平均収入が劣るというのは、現代社会の仕組みからしても「まぁ、そうなるだろうね」と感じる反面、なんとも言い難い気持ちにもなります。

ものかん
ものかん

ただし。。。

これは私の想像で、IF – もしかしたら ‐ の話ですが、

もしかしたら実質的な平均年収は60代よりも20代のほうが高い事象が多く存在している可能性もあります。なぜか?

ニュージーランドの年金制度Super Annuationは65歳から受給可能となるので、60歳代といえば多くの人が定年を控えている年齢ですが、逆に企業のトップ層にいる人も多いハズです。
すると、極端な例ですが
60代10人中1人の年収が30万ドル、他9人が年収3.5万ドルならグループ平均年収は6.15万ドルになります。
一方で、20代は10人全員が年収6万ドルならグループの平均年収も6万ドルです。

このように表層的な平均額は60代のほうが多く見えるものの、実は20代の10人は、9人の60代よりも多く収入を得ていると言うこともあり得る。一部の例外が平均を引き上げているという可能性もあるのではないか?という話でした。

最後に、本稿の基になっているNew Zealand Heraldの記事には、情報ソースがなく正確性にはハテナが残るものの移民にとっては聞き捨てならない記述もありました。

それが、ニュージーランドに移住してきた人々のキャリア構築をサポートする非営利団体 Migrant Careers Support Trustの設立者にしてチェアマンを務めるGarry Gupta氏がヘラルド氏に語った下記の言葉です。

Even an experienced migrant who has been in New Zealand for years and has been working here would still get maybe 70% of the salary a Kiwi would get,

何年もニュージーランドに滞在し、ここで働いている経験豊富な移住者でも、給料はキウイのおそらく70%程度でしょう

この70%にどれほどの正確性があるのかはわかりませんし、個人の経験や資格、能力等といったことが複雑に絡むので、Garry Gupta氏個人の主観にすぎないと思う一方、デタラメでもないと思います。

「自国民も外国人もわけ隔てなく平等」

というのは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、実行するには各マネージメント層の豊富な経験と強い意志、それを育む多様性を持った企業文化と組織力を育てるリーダーシップが必要で、非常に難しいものです。

企業のサイトには経営陣の写真や紹介が掲載されている事も多いですが、日本の企業であればその殆どが日本人の名前で占められていることを確認できるでしょうし、またニュージーランドの企業であれば多民族国家と言われることも多々あるにも関わらず、欧州系ニュージーランド人の写真や名前で占められている事が多いことに気づくかと思います。

そのなかで、どのように立ち振舞い、自身の価値を高めてニュージーランドでの生活をより充実させ、より豊かなものにできるのかは、結局のところ自分次第。給料が低いなら上げていくのみです。

またGarry Gupta氏は移民の給料についてのコメントをされていましたが、賃金格差というのは、国籍を問わず、男女の性別でも生じていますし、学歴や経歴でも生じています。

同じ大学をでて同じ仕事についているのに給料額が違う。
ビザで違う。男女で違う。国籍で違う。年齢で違う。地域で違う。会社で違う。

キリがありません。

これらに是正を求めて戦うことも重要ですが、戦っている間も時間は過ぎていきます。
矢印を自分に向けて、戦うべき事と前に進むべき事を見極めつつ、キャリアプランや自身のファイナンスを具体的に計画立てることをおすすめします。

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