ニュージーランド 平均年収 7万ドルを超える

お金

The Treasury (ニュージーランド財務省)が今後15万人の失業者が出ることを見込んでいるいっぽう、

インフレにより物やサービス価格が高止まりしている状況下で、人手不足にあえぐ企業は、魅力的な給与を提示して適切な人材を確保するために給料の提示額を上げて競争力を高めている。というのが現在の姿。

そして、Trademeがついにニュージーランドの全国平均年収が前年比6%の上昇を記録して7万ドルを超えたことを発表したようです。正確には全国平均年収$70,069ドル。

ニュージーランドで最も平均年収が高い地域 No.1 はウェリントン

ニュージーランドの全国平均年収が$70,069だと聞くと、自分の年収がこの額よりも高いまたは低いと、自分の現在の立ち位置を測る物差しとして見てしまいがちですが、ニュージーランドは日本の本州と四国を足したような国土に福岡県同等の約500万人ほどの人口しかいないので、地域により平均年収は大きく異なります。

全国を15の地域に分けた地域別平均年収を見ると、平均年収最高額のWellingtonと最低額のManawatū/Whanganuiでは約$8,000もの開きがありました。

また、地域の商業規模の差は、求人件数の差となり、人材確保の競争倍率につながるため、全国平均年収は、文字通り、全国の平均であるにも関わらず、地域別で見ると15地域中、平均の$70,069を上回っているのは、Wellington, Auckland そしてWest Coastの3地域のみという結果になっています。

地域平均年収
Wellington $      73,663
2Auckland $      71,960
3West Coast $      70,875
4全国平均      70,069
5Bay of Plenty $      69,448
6Waikato  $      68,867
7Gisborne  $      68,496
8Southland  $      68,416
9Otago  $      68,326
10Canterbury  $      68,305
11Hawke’s Bay  $      68,135
12Northland  $      67,771
13Nelson/Tasman  $      67,748
14Taranaki  $      67,075
15Marlborough  $      66,794
16Manawatū/Whanganui  $      65,711

ニュージーランドで最も年収の上昇率が高かった地域 No.1 はWest Coast

まず、前年比すべての地域で平均年収が上がっているのは良いことで、全国平均で6.1%アップというのも一見すると、大幅に上昇していると言えます。
しかし、物価上昇率を測るニュージーランドのConsumer Price Index(CPI: 消費者物価指数)が過去1年間で6.7%上昇していることを鑑みて平たく言えば、上昇率が6.7%を下回っている=増収分では物価上昇を吸収できず、家計が圧迫されている。と捉えることができます。

この観点でみると、CPI 6.7%を超える平均年収上昇率を記録した地域は、West Coast、Hawke’s Bay 、Southland 、Canterbury そしてNelson/Tasman の上位5地域のみとなります。

地域年収上昇率
West Coast+8.3%
2Hawke’s Bay +7.9%
3Southland +7.1%
4Canterbury +6.9%
5Nelson/Tasman +6.8%
6Waikato +6.6%
7Otago +6.5%
8全国平均 +6.1%
9Bay Of Plenty +6.0%
10Wellington +5.9%
10Northland +5.9%
10Gisborne +5.9%
13Auckland +5.8%
14Taranaki+5.6%
15 Marlborough +5.4%
16Manawatū/Whanganui +4.3%

平均年収と上昇率から見た狙い目・避けたい地域

言わずもがな、その土地に根を下ろすのは、単純にお金だけのことではないし、ましてや平均年収や過去の給与上昇率だけで引っ越しを決められるものではありませんが、IF ‐ もしも、今回発表された内容だけをみて、ニュージーランドで住む場所を決めなければいけないのなら、狙い目はWest Coast、Southland、Waikatoの3地域です。

理由は3地域とも平均年収額ランキングで上位に入っており、それでいて年間上昇率がCPI 6.7%を超えているため、昨今の物価上昇による圧をうまく逃しているからです。(Waikatoは上昇率6.6%と、CPIと比べて0.1%低いものの、今後CPIが下がることを見越して許容できる範囲だと判断)

逆に、避けたい地域はTaranaki 、Marlborough 、Manawatū/Whanganui。この3地域は平均年収が低いのに、上昇率も低いという二重苦をもって最下位を争っています。

地域上昇率
ランク
年収
ランク
West Coast 3
Hawke’s Bay 11
Southland 8
Canterbury 10
Nelson/Tasman 13
Waikato 6
Otago 9
全国平均4
Bay Of Plenty 5
Wellington 101
Northland 1012
Gisborne 107
Auckland 132
Taranaki 1414
Marlborough 1515
Manawatū/Whanganui 1616

West Coastが平均年収上位3位、上昇率1位だと?

ここまで見てきて最も驚かされたのがWest Coast。
平均年収は全国第3位で、全国平均を超えているだけでなく、年収上昇率に至っては国内第1位の上昇を見せています。

West Coastって、ニュージーランド南島西部に位置し、タスマン海と南アルプス山脈に接する地帯ですよ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウェスト・コースト地方
ものかん
ものかん

個人的には未だWest Coastに縁がなく一度も訪れたことがありませんが、「West Coast」と聞いて思い浮かぶのは観光で有名なフランツ・ジョセフ氷河。それ以外には何も思い浮かばない。

あるのはほぼ山と海だけだろうに、この地域に住む人の平均年収が$70,875だというのは、にわかに信じがたい。

人々の生活を支えるのは 鉱業、林業、酪農、漁業、養殖? それとフランツ・ジョセフ氷河か??

謎すぎるWest Coastをウィキペディアで検索してみました。

ウィキには今回焦点を当てている平均年収についての記述があったものの、まさに化石レベル。何年前の情報なんだ?と逆に興味が湧くレベルの平均年収が記されていました。

 The median income was $26,400, compared with $31,800 nationally.
同地域の平均所得は$26,400。対して全国平均は$31,800

https://en.wikipedia.org/wiki/West_Coast_Region

ウィキには更新が滞っている情報があるので記載内容を鵜呑みにできませんが、そんなウィキから信頼できそうな情報をいくつか抜き出すと、West Coastは

  • 2022年の時点の推計人口32,700人で国内地域最小
  • 1 km2あたりの人口は1.41人と人口密度も最も低い
  • 国内唯一、人口が減少している過疎地域

という感じの場所だそうです。

ものかん
ものかん

Trademeさん

West Coastが全国地域別平均年収上位3位、年収年間上昇率1位。これ本当なの?

引き続きウィキを見ていくと、産業は、ニュージーランド最大の炭鉱Stockton Mineを抱える鉱業、フォンテラの組合統合を拒否して長い間独立を保っていた酪農、そして観光業あたりだと記されています。またニュージーランド最大のWhitebait(しらす)漁も有名なようです、

しらすの漁が有名だというのは思いも寄りませんでしたが、いずれにせよ、しらすが平均年収を押し上げているとは考え難い。観光業も起爆剤にはならないとすれば、残りは鉱業と酪農。

酪農の現場ではそれほど多くの従事者を必要としないだろうし、仮に必要だとしても、それは季節労働力なんじゃないかと。そうすると消去法で鉱業が平均年収押し上げの主役かなぁ。

West Coastの求人を探る

Trademeが発表したWest Coastが全国地域別平均年収上位3位、年収年間上昇率1位。これが本当なのかどうか?

そして、「鉱業が平均年収押し上げの主役」とした、ものかんの推測が正しいかどうかを調べるために、求人サイトSeekでWest Coastの求人を見てどのような業種が人材を探しているのか見てみることにしました。

2023年7月19日付でSeekに掲載されていたWest Coastの求人件数は全部で89件。

まず、それらを年収でフィルターかけると、

  • 39件(同地域求人の44%)は同地域平均年収$70,875以下の求人。
  • 50件(同地域求人の56%)が7万ドル以上。全国平均年収以上を望める求人。
  • 50件中17件が10万ドル以上
  • 50件中3件が15万ドル以上の年収が望める求人案件という結果でした。

やはりWest Coastの平均年収が全国平均を上回っているのは間違いないようです。

次いで、求人89件を業種別にして求人が多くでている順に上位を並べた結果がこちら。
*カッコ()内の数字は、年収7万ドル+のフィルターで残った求人件数と、年収7万ドル+の求人の割合。

  • Trades & Services:14件 (8件 |57%)
  • Government & Defence: 9件 (9|100%)
  • Hospitality & Tourism: 9件 (1|11%)
  • Mining, Resources & Energy: 8件 (8|100%)
  • Community Services & Development: 7件 (3件|42%)
  • Manufacturing, Transport & Logistics: 7件 (3件|42%)
  • Healthcare & Medical: 7件 (6|85%)

行政、鉱業、医療の3業種の高給ぶりが見て取れる一方、観光業の低賃金ぶりが目立つ結果となりました。

ものかん
ものかん

求人件数から推測できるのは、West Coastの過疎化が進み、労働年齢に達している人々に魅力的な地域とは言い難いため人材不足が深刻化。鉱業を含む天然資源系を中心に、それら国内資源の採掘の維持・管理をしているであろう行政の求人、そして労働者の健康面をケアをする人材求人が魅力的な給与額面を提示して人材確保した結果が平均年収の上昇と前年比の上昇率に反映したのが理由の1つかも知れないということです。

最後に、GoogleのAI Bardに聞いてみました。

ものかん
ものかん

In 2023, the West Coast of New Zealand was among the top three regions with the highest average wages. Can you explain why this was the case?

Bard
Bard

There are a few reasons why the West Coast of New Zealand was among the top three regions with the highest average wages in 2023.

  • The West Coast has a strong resource-based economy. The region is home to some of New Zealand’s most important coalfields, as well as gold, silver, and other minerals. These industries are labor-intensive and require highly skilled workers.
  • The West Coast has a relatively low cost of living. This means that workers on the West Coast can afford to live comfortably on their high wages.
  • The West Coast has a shortage of skilled workers. This means that employers are willing to pay higher wages to attract and retain workers.

The West Coast’s high wages are a boon to the region’s economy. They help to attract new businesses and residents, and they boost the local economy. However, the high wages also make it difficult for some people to afford to live on the West Coast.

Here is a table of the average wages in the West Coast of New Zealand in 2023:

OccupationAverage wage
Coal miner$100,000
Gold miner$90,000
Silver miner$80,000
Forestry worker$70,000
Fisherman$60,000

As you can see, the average wages in the West Coast are significantly higher than the average wages in the rest of New Zealand. This is due to the region’s high-paying resource extraction industries and its relatively low cost of living.

やっぱり資源系でしたね。ウィキにはWest Coastにニュージーランド最大の炭鉱Stockton Mineがあると書いてあったし、存在の事実確認もしましたよ。

彼らの平均年収は10万ドルなのか。へぇー。ソースはどこ? え?

え? えええっ?? 金鉱に銀鉱!?

昔はコロマンデルとかアロータウンとかで採れたらしいけど現代ニュージーランドに現役の金鉱・銀鉱あるの? マジか。

マジでした!

West Coastの金鉱・銀鉱を求めてもうひと調べしたら、出てきました。

ニュージーランド最大の金鉱業者オセアナゴールド コーポレーション

Oceana Gold CorporationはThe New Zealand Stock Exchange (NZX:ニュージーランド証券取引所)に上場していたものの、カナダのトロントに本社を置く金鉱会社Barrick Gold Corporationが公開買付で全株を取得して非公開化した後、Toronto Stock Exchange (TSX: トロント証券取引所)で上場したようです。Oceana Gold Corporationのニュージーランド籍も2007年に解散して今は外資の扱いです。

外資になったとはいえ、南島オタゴ東部にある国内最大の金鉱Macraesや、北島コロマンデル半島南東部にあるWaihiなどで採掘しているそうです。

ものかん
ものかん

本当に今でもニュージーランドで金を採掘しているんですね!

しかし、

Bardさんは金鉱、銀鉱がWest Coastにあると言ってましたよね。

オタゴとかコロマンデルはWest Coastではないよ。

その後も調べてみましたが、金鉱・銀鉱ともにWest Coastとのつながりに関する情報は昔は採れたという記録以外に情報は見つかりませんでした。

ウィキもそうですがAIも情報を鵜呑みにできないですね。

話がとっ散らかってしまいました

West Coastに話が逸れてしまいましたが、全国平均年収の話に戻すと、

確かに人材不足などの理由で年収提示額は引き上がりましたが、足下の企業景況感の低下とともに雇用機会の減速(=求人件数の減少)はすでに見られています。

そのような経済指標だけでなく、当ブログでも、日本語力が必須または日本語力が有利になる求人案件を厳選してご紹介していますが、目に見えて件数が減っています。

直近で就職、転職を考えているなら行動は早い方が良いと言えそうです。

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