Trademeがニュージーランドの全国平均年収$70,069ドルだと発表していますが、
同じようなタイミングで求人情報サイト大手のSEEKが、2023年6月22日から6月23日までに掲載されたニュージーランド求人広告のうち、15万ドル以上の平均広告給与に基づくデータと、ニュージーランドで働く4000人に対する聞き取り調査を基に年収15万ドル以上が望める職種とその平均年収額を発表していたのでご紹介します。
年収15万ドル以上の求人案件 6業種40職
Seekのサイトでは、下記の表にまとめた6業種がニュージーランドで年収15万ドル以上が望める業種として閲覧できるようになっており、合計40の職種がリストに上がっていました。
業界 | 職種数 | |
Accounting | 会計 | 4 |
Banking & Financial Services | バンキング&金融サービス | 2 |
Construction | 建設 | 5 |
Government & Defence | 政府機関&国防 | 4 |
Healthcare & Medical | ヘルスケア&メディカル | 7 |
Information & Communication Technology | 情報通信テクノロジー | 18 |
ニュージーランドの全国平均年収の倍を稼ぐ職種ですから、60の職種はいずれも要職であることが予想されますが、情報通信テクノロジー(以後、IT業界)だけは、他を圧倒して18もの職種が15万ドル超えの求人として出ています。
多くの職種で高給を支払っているという事は、それだけ業界全体の年収が高いことにもつながり、お金を稼ぐという視点で就職を考えるならIT業界がチャンスが豊富という意味で最も敷居が低く、キャリアパスも多岐にわたり、高給取りというのが、この表から透けて見えます。
以前、ニュージーランドで稼げる職業トップ20にランクインしているITの職というのを載せたした投稿もしているので興味のある方はそちらもご覧ください。
ニュージーランドで年収の高い職トップ10
年収の高い職第一位は$215,841。
この額は、該当する職種の「平均」広告給与です。ざっくり言えば、これよりも高い額をもらっている人が5割いるわけです。そして、第十位でも$175,746 という、さすが年収の高い職トップ10ランキングと言わざるを得ない結果になっています。
順位 | 業種 | 職種 | 平均広告年収 | |
1 | Healthcare & Medical | Radiologist | 放射線医 | $215,841 |
2 | Healthcare & Medical | Psychiatrist | 精神科医 | $208,335 |
3 | Accounting | Chief Financial Officer | CFO・最高財務責任者 | $194,336 |
4 | Healthcare & Medical | General Practitioner | 一般医・開業医 | $191,194 |
5 | Construction | Project Director | プロジェクト ディレクター | $190,551 |
6 | Healthcare & Medical | Doctor | 医師 | $185,036 |
7 | Healthcare & Medical | Director | ディレクター | $180,878 |
8 | Accounting | Head of Finance | 財務責任者 | $180,119 |
9 | Healthcare & Medical | Physician | 医師 | $179,321 |
10 | Banking & Financial Services | Investment Manager | 投資マネージャー | $175,746 |
年収の高い職トップ10のうち5つの職が医者という、なんとも、
・・・だよねぇ
となってしまう結果でした。
Healthcare & Medical業界はディレクターも7位にランクインしており、高給取り職種ランキングトップ10のうち6職種でランクインと凄まじいわけですが、利用する側の視点で見れば、日本のような医療保険制度がないニュージーランドで医療にかかると、いかに請求が高額になるかを物語る結果とも言えます。
またトップ10にランクインした残り4つの職のうち2つはCFOと財務責任者。一般的なイメージで言えば、CFOは財務部門の責任者兼、経営陣の一員として、財務戦略の立案や実行に携わる職。
一方、財務責任者は財務部門の責任者で予算編成、決算、資金調達、財務分析などを統括するような職だと言えます。
年収の高い職トップ10に一つも入らなかったあの業界
先ほどの年収の高い職トップ10をみて、年収15万ドル超え職種が18と圧倒的に多かったIT業界の職が一つも入っていない事に拍子抜けした方もいるかと思います。
が、ご安心を。
IT業界の職は第13位にランクインしているエンタープライズアーキテクト$171,205を筆頭に、その後20位まで全て IT業界が占めています。
順位 | 業種 | 職種 | 平均広告年収 | |
11 | Construction | Commercial Manager | コマーシャルディレクター | $173,513 |
12 | Government & Defence | Director | ディレクター | $171,897 |
13 | IT | Enterprise Architect | エンタープライズアーキテクト | $171,205 |
14 | IT | Security Architect | セキュリティーアーキテクト | $169,541 |
15 | IT | Architect | アーキテクト | $167,813 |
16 | IT | Engineering Manager | エンジニアリングマネージャ | $167,048 |
17 | IT | Integration Architect | インテグレーションアーキテクト | $164,440 |
18 | IT | Change Manager | チェンジマネージャ | $163,514 |
19 | IT | Security Manager | セキュリティマネージャ | $162,470 |
20 | IT | Data Architect | データアーキテクト | $161,887 |
20位までにランクインした8つのIT職のうち5つがアーキテクトのポジション。
IT業界は仕事が細分化される傾向が強いので、アーキテクトも例外なく、エンタープライズだセキュリティーだ、インテグレーションだと専門化されていきますが、おしなべてITアーキテクトと言えば、企業のニーズに合わせたコンピュータシステムを設計・構築する職業。
具体的には、企業の業務やニーズを基に、最適なシステム設計を行い、それに基づいて、システムを構築し、運用・保守を行うため、システムの設計・構築にかかる専門知識だけでなく、幅広いビジネス知識も必要とされる職です。
21位から40位にランクインした高給が望める職種
順位 | 業種 | 職種 | 平均広告年収 | |
21 | Construction | Regional Manager | リージョナル マネージャ | $161,882 |
22 | Government & Defence | Kaiwhakahaere | $161,469 | |
23 | Construction | Development Manager | ディベロップメント マネージャ | $160,707 |
24 | IT | Solutions Architect | ソリューション アーキテクト | $160,296 |
25 | IT | Practice Leader | プラクティス リーダー | $159,875 |
26 | IT | Programme Manager | プログラム マネージャ | $159,418 |
27 | Construction | Construction Manager | コンストラクション マネージャ | $156,409 |
28 | Banking & Financial Services | Associate Director | アソシエイト ディレクター | $155,890 |
29 | IT | Cloud Architect | クラウド アーキテクト | $154,533 |
30 | IT | Owner | オーナー | $154,528 |
31 | Accounting | Commercial Manager | コマーシャル マネージャ | $153,014 |
32 | IT | Software Development Manager | ソフトウェア開発マネージャ | $152,514 |
33 | Accounting | Financial Controller | フィナンシャルコントローラー | $152,514 |
34 | Government & Defence | Planning Manager | プランニング マネージャ | $152,164 |
35 | IT | Engineering Lead | エンジニアリング リード | $151,928 |
36 | Healthcare & Medical | Dentist | 歯科医 | $151,144 |
37 | IT | Development Lead | 開発リード | $150,928 |
38 | IT | Manager | マネージャ | $150,409 |
39 | Government & Defence | Chief Adviser | チーフ アドバイザー | $150,398 |
40 | IT | Test Manager | テスト マネージャ | $150,224 |
22位にランクインしている政府系の職種「Kaiwhakahaere」というのは、マオリ語で「導く者」という意味。マオリ文化においては、コミュニティや社会のリーダーとして、人々の指導や支援を行う役割のようで、つまり特定の部門やチームのディレクターやマネージャなど人の上に立つ職種のようです。
異なる業界で15万ドル以上を稼ぐ最も需要の高い12の職種
このランキングは高給ランキングではなく、
業界から15万ドル以上稼げそうな職種の中でも、最も需要が高い1職種を12の業界からそれぞれ選抜し、それらを最も需要の高い順にランク付けたものです。
順位 | 業種 | 職種 | 平均広告年収 | |
1 | IT | Solutions Architect | ソリューションアーキテクト | $160,296 |
2 | Healthcare & Medical | General Practitioner | 一般医・開業医 | $191,194 |
3 | Accounting | Financial Controller | フィナンシャルコントローラー | $152,514 |
4 | Consulting & Strategy | Change Manager | チェンジマネージャ | $150,015 |
5 | Construction | Construction Manager | コントラクションマネージャ | $156,409 |
6 | Legal | Senior Associate | シニア アソシエイト | $150,421 |
7 | Engineering | Technical Director | テクニカルディレクター | $170,083 |
8 | Government & Defence | Director | ディレクター | $171,897 |
9 | Manufacturing, Transport & Logistics | General Manager | ジェネラルマネージャ | $173,432 |
10 | Real Estate & Property | Development Manager | 開発マネージャー | $165,055 |
11 | Marketing & Communications | Head of Marketing | マーケティング部長 | $154,202 |
12 | Banking & Financial Services | Associate Director | アソシエイト ディレクター | $155,890 |
「営業」が付く職種が一切ランクインしていない理由
ここまで見てきて、営業職が一切入っていないと思った方もいるかと思います。
企業にもよりますが、一般的に営業職の給与は、基本給+コミッションの組み合わせで構成されており、基本給は職位や経験、スキルや前職の給与などに応じて決められるにせよ、通常、この額は低く設定されます。
なぜか?
それは営業職はコミッションの額が大きく設定されるからです。
営業という仕事は売ってなんぼの世界。
営業が売上を上げれば会社の収益が増え、利益が増えるというように、会社が潤う事に直接貢献する重要な職種ですから、企業としては営業に全力120%の力を出して売上を伸ばしてもらいたいのです。
表現は悪いですが、営業にとって基本給はさほど重要ではなく、眼の前にぶらさげられる人参(コミッション)を得るための設定が明確かつ十分な量(金額)であるかどうかが注視される部分です。
ですから、
目標達成や売上に応じてコミッションが基本給の数倍支払われる仕組みになっている企業も多々あるので、仮に営業職に対して過去3年間の基本給+コミッションの合計額を調査したなら、ランキングに大きな変化が出ているはずです。
無論、営業と一言でいっても、法人営業/個人営業、フィールドセールス/インサイドセールス、新規開拓営業/ルート営業/オンライン営業など様々ありますが、一般的にコミッションが高く設定されているのは新規開拓営業や、販売単価が高い/専門性の高い商品やサービスの営業です。
ニュージーランドで年収15万ドル超えを目指すべきか
ここまで読んでいただいた皆さんは年収15万ドルについて、どう感じましたか?
「やってやる!」と思ったか、「無理ゲー」と感じたか。
はたまた、「既に超えてるよ♪」なのか、「お金はそこまで求めていない」なのか。
お金があれば、生活に余裕をもて、必要なものも手に入れられることができ、夢や目標を実現するための手段にもなりますが、他方、ニュージーランドに住んでいる理由が仕事に追われることなくのんびり暮らしたい。お金よりも、自由や時間、人間関係を大切にしたいという方も多くいると思います。
どちらの考え方も尊重されるべきで、価値観や生き方がお金をより必要とするのか、否かを決めると言えるだろうと思います。
もしあなたが15万ドルの給与を求めるのであれば、職選びが重要なだけでなく、今の職場でも給与交渉は必ず行うべきです。
給与は「あがるもの」だと考えてる方に会うことが多々ありますが、
ニュージーランドでは間違いなく、給与は「あげていくもの」です。
あなたが今年こそ、昇給の打診があるんじゃないかと、内心密かに期待して待っている間に、同僚は給与をあげるための交渉材料を蓄え、給料交渉に挑んでますし、それが難しいなら転職して給料をあげていきます。
給与は「あげていくもの」。
これがニュージーランドでは一般的な考え方だということを是非覚えておいてください。
余談
最後に、ニュージーランドに住んでいる日本人で年収15万ドルを超えている人の数は、2018年に行われたニュージーランド国勢調査によると125人いました。
125人を多いとみるか少ないとみるか。
ニュージーランドに住んでいる日本人の平均年収はいくらなのか?
近日中に、2018年に行われたニュージーランド国勢調査を深掘りした記事を公開します。
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