データ公開 PART1 – 2025年ニュージーランド 平均給料中央値 業界・職種別 日本語力必須・有利/ 日本関連求人

当ブログ「ニュージーランドのお金」では、ニュージーランド国内で英語で募集される求人のうち、
- 日本語力が必須または有利なもの
- 日本に関連する技術・知識・経験が求められるもの
を条件に該当する求人を独自に集計し、毎月公開しています。
前編(下記リンク)では、2025年1月1日から12月31日までの1年間に集計した412件の該当求人広告がどのような分布を見せているのか、どのような日本関連スキルが求められているのか分析しました。

本編では、業種別、職種別にいくらの平均給料(年収ベース)を広告で提示しているのか?
日本で生まれ育った方や、日本語に堪能な方が就職に有利になりうる求人全体の平均提示額はいくらなのか?などをお伝えします。
ニュージーランドで日本語力や日本関連の技術・知識・経験を活かしたキャリアパスを検討する際にお役立てください。
ニュージーランドで日本語力や日本関連の知識を活かしたフルタイムの平均給与
はじめに、2025年に「日本語力が必須または有利」とされた求人、ならびに「日本に関連する技術・知識・経験」が求められた求人(全412件)のうち、給与額が提示されていた求人広告179件を対象に分析しました。
その中からフルタイム求人(179件)に絞った平均提示給与は以下の通りです。
フルタイム求人平均提示給与額(年収):NZ$65,169
*時給提示の求人は週40時間労働とみなして年収換算しています。

2024年からの推移
2024年の平均提示給与額NZ$65,734から、2025年はマイナスNZ$565(0.86%)減少のNZ$65,169となりました。
1%に満たない下落は小さく見えるかもしれませんが、物価上昇率を考慮すると、実質提示給与額は前年比で約3.5〜4%悪化したと捉えてよいと思います。
経済環境の影響
2025年のニュージーランドは利下げが続き、インフレ率も国が目標とする範囲に収めることができたものの、景気は回復せず、企業利益を圧迫して多くの倒産・撤退を目にし、これにより失業率も高止まりしました。多くのニュージーランド人が職を求めて豪州へ出稼ぎに出ている事が話題になるなど、このような経済環境で企業が新規採用コストを「抑制」に転じたのは自然な流れと言ってよいと思います。
ニュージーランド全体の所得水準と日本語力や日本関連知識を活かしたフルタイムの平均給与の比較
ニュージーランド統計局(StatsNZ)の所得調査(2025年6月公表)によると、全国の所得水準は以下の通りです。
‐年収中央値: NZ$69,836
‐年収平均: NZ$ 81,484
中央値は「真ん中の人の年収」。高給取りの影響を受けにくく、NZで働く一般的な労働者の実感に近い指標です。
一方、平均は「労働者全員の給与合計 ÷ 労働者数」なので、高所得者層によって強く引き上げられます。
当ブログが算出した求人広告の提示給与は、「これから雇われる人のスタート給与」であるのに対し、Stats NZの所得調査は「すでに働いている人(ベテランや管理職、10年以上前に入社した人などを含む)」の収入を対象としています。そのため、両者を単純に比較することはできませんが、一般論としては、求人広告に掲載されるスタート給与は、その時点の物価水準や労働市場の相場を反映するため、「既存労働者の年収中央値 < 新規求人の提示給与」となっても不思議ではありません。
それにもかかわらず、日本語力が必須または有利とされた求人、ならびに日本関連の技術・知識・経験が求められた求人では、その水準に達していないという結果になっています。
日本語・日本関連スキルを求める求人の大半が、ホスピタリティに集中している構造
日本語力が必須または有利とされた求人、および日本関連の技術・知識・経験が求められた求人の平均提示年収が、既存労働者の年収中央値 NZ$69,836 を下回った背景を分析すると、該当求人の大半がホスピタリティ産業に集中している構造が大きく影響を及ぼしていることが見てとれます。
今回、有効該当求人(給料提示がされていた該当広告)統計ではフルタイム求人163件のうち、約8割にあたる128件がホスピタリティに属していました。その職種は下記のとおり。
- Waiting Staff
- Bar & Beverage Staff
- Chefs / Cooks
- Management (Hospitality & Tourism)
- Tour Guides
- Travel Agents / Consultants
これら職種の平均提示年収は、おおむね NZ$54,000~NZ$62,000 の範囲に分布しています。
一方で、ホスピタリティ以外の55件の求人を計算すると、加重平均年収は NZ$75,604 となり、NZ統計局の年収中央値 NZ$69,836 を上回ります。
*ただし、これらの職種の給与提示件数は 1~2 件のものが多く、統計的にはサンプルが少な過ぎることに注意が必要。「市場平均年収」ではなく、「たまたま2025年に出た求人で、単なる一事例」レベルだと捉えたほうが良い。
このことから、全体平均が低く見える要因は、日本語求人の大半が低賃金のホスピタリティ業に集中していることによるものだと整理できます。
ものかんニュージーランドに限らず、ホスピタリティ業界の賃金が低めになる最大の要因は、そもそも相対的に利益率の低い業界構造にあります。
観光業・ホスピタリティ業は競争が激しく利益率が低いため、人件費を大幅に上げる余裕はあまりありません。
さらに、以下の要因が雇用側の交渉力を高め、賃金を大幅に上げなくても人材を確保しやすい構造を作っています。
‐専門資格や経験がさほど求められない職種も多い
‐ワーキングホリデーを含む外国人就業者への依存度が一部で高い
‐若年層の就業者も多い
‐離職率も高め
これらの要因は、相対的に市場価値を低めに評価されやすくするうえ、ビザ取得を目指す就業者が、比較的就業ハードルの低い職種に集中しやすい傾向も生み出しています。
ただし、経験やスキルの高いシェフやマネージャーなど、一部の職種では給与が高くなる場合もあるようですが、その給与水準が反映されることは稀で、一般的な求人情報では低めの水準が示されやすいのが現実です。
つづき – Part2
次回はPart2として、業界別に給料提示額を掲載した広告の数や、平均提示年収と中央値のギャップを見ていきます。
おたのしみに。






