1News Kantar Publicが電話とオンラインで計1002人を対象に行った世論調査の中に、「週休3日制」の導入について是非を問う質問があり、63%が支持したという記事がありました。
記事原文では「調査の結果から週休3日制をほぼ支持するだろう人の特徴は~」 というのを下記ように表現したうえで支持派、支持しない派の特徴を述べています。
In the poll’s findings, people who were the most likely to support the idea were…
しかし、これは乱暴すぎです。
ヒアリング対象の1002人とは、国民全体の1%にすら遠く及ばない0.02%なので、いくらなんでもサンプル数が少なすぎます。どんなに上手くヒアリング対象を偏らないように散らしたとしても、全体の0.02%をもって、「ほぼ支持するであろう人の特徴」と大手メディアが人物像を決めつけるあたり怖さを感じます。
IF もしも週休3日制になると…
人物像はさておき、1000人中150人が「いま答えを出せない」を選択したことにやや驚きました。
週休3日制の是非はメリットとデメリットをよく考えなければ問えないということでしょうか。
メリットとして先ず思い浮かぶのは、趣味に費やす時間や、家族や恋人、友人らと過ごす時間、資格を取得するための勉強にあてる時間など、自由に使える時間が増えること。
働く時間が減るのだから当然ですね。
また就労時間という縛りの外にある時間が増えれば、仕事による疲労なんかも軽減されると思います。
デメリットになりそうな部分は、先ず、会社が週休3日制になり、あなたの就労時間が減るからと言って企業はそれを理由に競争力が低下することを受け入れるとは考え難い点です。
競争力の低下は負の連鎖のトリガーになります。
競争力が下がると売上が下がり、売上が下がれば利益が減少し、利益が減るということは顧客離れが起きているという事で、利益が減れば従業員の給与が上がらないばかりか、場合によっては下がり、給与が下がれば離職者が増える。
つまり「従業員の就労時間は減っても、企業の成長を削ってはならない」となり、すべての従業員が効率性を求められ労働生産性をグググッと引き上げて働くことが求められるはず。
そのため、ほとんどの従業員は従来の働き方を否応なしに否定されることになり、柔軟かつ迅速に効率重視の働き方へシフトできないと「パフォーマンスの悪い社員」という評価になります。
2-6-2の法則をなぞれば、そういった人が全体の2割ほど出てくるという感じです。
しかも日本(人)に関して言えば労働生産性を引き上げるのが苦手です。公益財団法人日本生産性本部がまとめた「労働生産性の国際比較2022」によると、日本の労働生産性はOECD(経済協力開発機構)加盟国38カ国中27位。データが取得可能な1970年以降、最も低い順位にまで下がってきています。
これには様々な要因があると思いますが、例えばIT技術が急速に発展してビジネスでもチャット系ツールが活用される時代に、日本のビジネスシーンではまだまだ「お世話になっております」といった不要とおもえる定型文から始まるメールや、「メール送りましたのでご確認ください」と電話してくるような非効率なやり取りが見られます。昔ながらの方法に固執して生産性のないことに時間を使う事を良しとする人々が多く存在し、その人らが社会の中核を担い、部下や後輩が同様の思考回路に侵されていくということかなと。このような状況で週休3日制に移行した場合、より厳しい現実が突きつけられる事になる日本人は多いと思います。
Choose life
週休三日制になると、自由が増え、選択肢が増えるからこそ自分自身、社会に対する責任がより重くなり、皮肉なことにプライベート時間に何を考え、どう行動するのかが今まで以上に人生に大きな違いを生む事になると思いますし、お金の面でも格差がより広がる事につながるのではないかと心配になります。
皆さんはどのように考えますか?
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