ニュージーランドのカードゲーム産業は本当に「国策」なのか? 「6000%成長」を調べて分かったこと

「ニュージーランドのカードゲーム産業が国策になっている」
そんな見出しのファミ通の記事を見つけて、Xにも投稿しました。

ゲーム産業はニュージーランドの「国策」というファミ通の記事。え、そうなの?
— ものかん@ニュージーランド (@nznomoney) July 28, 2026
っていうか、ファミ通って現存してるんだね。何十年ぶりに名前を聞いたよ。
記事では、NZ発カードゲーム「Flesh and Blood」を開発・製造販売するNZ企業Legend Story… pic.twitter.com/LCp9wTSLA0
ニュージーランドといえば、ひつじと観光、それに乳製品、食肉、ワイン、キウイフルーツなどを思い浮かべる人が多い気がします。
どう転んでも、ゲーム産業を国の主要産業として認識している人は、NZで暮らしていても、それほど多くないと思う。
ものかん趣味の領域なのでニッチなのかもしれませんが、ニッチだったはずなのに巨大な市場に育った日本の「オタク文化」などとは違い、NZのゲーム産業にはそこまでの存在感を感じたことがありません。そんな目立たないニッチが国策とはどういうこと?と疑問符が付きますし、NZ在住20年を超えていてもなお、個人的には「NZのカードゲーム」と聞いて一つも思い浮かぶ商品がありませんでした。
ただ、私が知らないだけで、カードゲーム産業がNZの国策(または国策だった)というのを否定するのは無理があると思い、人口の少ないニュージーランドがゲームをどのような産業として育てようとしているのか、という視点から、このファミ通の記事を掘り下げてみることにしました。
まず「6000%成長」は、NZのカードゲーム産業全体ではない
ファミ通の記事で紹介されていたのは、ニュージーランド発のトレーディングカードゲーム「Flesh and Blood」と、開発元のLegend Story Studios(以下、LSS社)、そしてニュージーランド愛に溢れていそうな熱さが記事からも伝わってくる、元ニュージーランド大使館商務部勤務にして現LSS社の日本カントリーマネージャー氏です。
LSS社は、2019年10月にトレーディングカードゲーム「Flesh and Blood」を発売。
同社は6416%の売上高成長率を記録し、2022年のDeloitte New Zealand Fast 50*ランキングで第1位になっています。
*Deloitte Fast 50は、ニュージーランド企業を対象に、3年間の売上高成長率で順位を付ける企業ランキング


つまり、「6000%成長」したのはニュージーランドのカードゲーム産業全体ではなく、Legend Story Studiosという一企業の売上高成長率ということか。。。
ファミ通の記事では、「ニュージーランドのカードゲーム産業は前年と比べて6416%の収益成長を達成」と説明されていますが、6416%はニュージーランドのカードゲーム産業全体の前年比成長率ではなく、LSS社一社の3年間の売上高成長率です。
いきなり話が終わりそうになってしまったので、それはそれとして、期待薄ながらNZのカードゲーム市場規模を調べてみました。
国内市場の年間売上高や、ブランド別の市場シェア、プレイヤー人口、カードゲーム専門店の総売上高や中古カードを含む流通総額などなど。
まあ見つからないだろうなぁと思いつつサーチしましたが、予想通り見つかりませんでした。
ただし、貿易統計には「Playing cards」という分類(HSコード:950440)があったので、これを見てみます。
この分類は、カードゲーム市場規模ではなく、物理的なPlaying cardsの輸入・輸出額です。
トレーディングカードゲームだけでなく、通常のトランプなども含まれますが、少なくとも、この貿易統計から「NZのカードゲーム産業が6000%成長した」と読み取れる動きはありません。
| ニュージーランドのPlaying cards輸出入額 (USD) | ||
|---|---|---|
| 年 | 輸入額 | 輸出額 |
| 2019年 | $5,264,130 | $172,380 |
| 2021年 | $17,976,190 | $1,897,560 |
| 2023年 | $18,260,850 | $687,280 |
| 2024年 | $17,284,960 | $831,710 |
しかし、面白い数字も出てきました。
2024年、NZからの最大輸出先は日本
この貿易統計を輸出先別に見てみると、一つ興味深い数字がありました。
2024年にニュージーランドから輸出された「Playing cards」は総額US$831,710。
そのうち日本向けがUS$416,870で、輸出総額の約50.1%を占めています。
次いでオーストラリア、米国、英国、香港と続きますが、それら2~5位向け輸出額を合算してもなお日本に届かないほど2024年は、NZのPlaying cards輸出先として日本が圧倒的に大きかった事を示しています。
| 輸出先 | 2024年輸出額 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 日本 | $416,870 | 約50.1% |
| オーストラリア | $183,360 | 約22.0% |
| 米国 | $94,440 | 約11.4% |
| 英国 | $63,880 | 約7.7% |
| 香港 | $28,730 | 約3.5% |
しかも、昔から日本市場が圧倒的だったのか?というと、そうではなく、突如、跳ね上がっているのが下記の表からわかります。
対日輸出額は2019年US$110、2021年US$760という事で、これはサンプルを送った程度の額です。
それが2024年にはUS$416,870と、1年間で約56.7倍に増えています。
| 年 | 日本向け輸出額 | 前回統計比 |
|---|---|---|
| 2019年 | $110 | — |
| 2021年 | $760 | 約6.9倍 |
| 2023年 | $7,350 | 約9.7倍 |
| 2024年 | $416,870 | 約56.7倍 |
貿易統計には企業名やブランド名が出てこないため、ここまで急増した理由は分かりませんし、また当然ながら、このこのUS$416,870のうち、どの程度がLSS社のFlesh and Bloodによるものなのかも分かりません。
しかし、ファミ通の記事によると、
(LSS社の日本カントリーマネージャ) 安田さんは2026年3月までニュージーランド大使館 貿易経済促進庁の商務官として勤務。在籍中から個人的な情熱でゲーム産業に力を入れていたらしい。縁があってLSSに半年ほど出向し、2026年4月から転職したとのこと。
という事ですから、ここまで見ると、2024年の対日輸出急増と、当時、在日本NZ大使館で個人的な情熱からゲーム産業に力を入れていたという安田氏の存在が、妙にきれいにつながって見えてしまいます。
ただ、時系列をさらに追ってみると、そんなゴシップ臭がする話などではありませんでした。
実は2023年には、すでに大阪にスタッフがいた
2024年に日本向けPlaying cards輸出が急増したのなら、当時ニュージーランド大使館の商務官だった安田氏が何か関わっていたのでは?と思いたくなります。
ところがLSS社の日本進出をさらに遡ってみると、日本展開は2024年に突然始まったものではありませんでした。
PwC New Zealandが2023年にLSS社CEOのJames White氏を取材した記事によると、その時点で同社は世界各地に47人のスタッフを抱え、勤務先としてパリ、マドリード、ポートランドと並んで大阪も挙げられています。
さらに、2023年中に日本でソフトローンチし、2024年5月に正式ローンチする計画まで具体的に決まっていました。
日本参入によって、Flesh and Bloodの取扱店をさらに400店舗増やす計画だったそうです。

つまり、日本市場への進出は2024年の対日輸出急増より前から、かなり具体的に進められていたことになります。
そして、実際に2024年5月31日には「Flesh and Blood 霧隠の秘境」という初の日本語版を発売していますし、同年10月末から11月には、賞金総額US$300,000の世界選手権まで大阪で開催しています。

少なくとも、日本市場への参入そのものは安田氏がLSS社へ出向するより前から進んでいたことは明白なので、
「2024年にPlaying cardsの対日輸出額が突然56.7倍になった」
「当時NZ大使館でゲーム産業に力を入れていた安田氏がいた」
という二つの事実から、NZ大使館の政務官として何らかの形で安田氏が関わっていた可能性はありますが、その過程に深く関わったのか?またはどこまで関わったのかは分かりませんし、公開資料も見つけられませんでした。
しかもLSS社は、日本進出の資金をNZ政府頼みにしていた会社でもなさそう
ここで、もう一つ気になったのが資金です。
ここまで日本進出を一気に進め、世界大会まで開催したとなると、「国策」という言葉から、NZ政府が多額の補助金を入れていたのでは?とも考えたくなります。
ですが、調べてみると、ここでも少し違う姿が見えてきました。
2023年のPwCの記事でJames White CEOは、創業初期に資金調達を行った後について、
その後の成長は事業収入で賄ってきた
と説明しています。
しかも、その間に株主へ5回の配当も実施したとしています。
同じ記事では、LSS社について、まだ急成長中ではあるものの、事業運営を自らの資金で拡大できる状態にあるとも説明されていました。
2023年時点ですでに世界4,000店舗で販売し、日本進出によってさらに400店舗を加えようとしていた企業だったのです。
つまり日本進出のためにNZ政府から巨額の補助金を受けなければ動けなかったスタートアップ企業、というわけではなかったという事で、2024年に日本で大型イベントを開催し、日本語商品を投入するだけの事業体力を、すでに持っていたと見るのが自然です。
ただし、だから政府から何の支援も受けていなかった、という意味でもありません。
NZTEにはNZ企業の海外市場開拓を支援するco-fundingや投資支援の仕組みがあります。

LSS社がこのような支援制度を活用したのかどうかは確認できませんでしたが、一方で、2023年には、NZTEが運営するNew Zealand International Business Awardsで、LSS社が「Excellence in Brand Storytelling」を受賞しています。
その際、NZTEはLSS社を「世界のTrading Card Game業界を変革しようとしているオークランド企業」と紹介していますから、少なくとも、NZTEから輸出企業として評価され、接点を持っていたことは確認できます。
さらに、そもそも「NZで作ったカードを世界へ輸出する会社」でもなかった
Playing cardsの輸出統計を見るうえで、この記事としての問題が浮上してきました。
Flesh and Bloodはニュージーランドで開発されたゲームですが、確認できる量産カードは最初期から海外で印刷されていたようです。
開発中の試作品や特殊な少量プロモなど全部開示しているわけではないので、ニュージーランドでは印刷していないとは言い切れませんが、最初期からベルギーで印刷しており、その後、日本でも印刷しているカードがあることがウェブサイトから分かります。
つまり、ニュージーランドのPlaying cards輸出額がー とか、2024年は特に日本への輸出がー などど色々調べて書いてきたことが覆されるかもしれないという、私、ものかんにとってここまで調べて書いてきた時間を無駄にしたという由々しき事態になってきました。
なぜなら、ベルギーや日本で印刷したカードを日本へ輸出販売しているなら、それはニュージーランドから日本への輸出にはならないからです。
唯一の可能性は、商品をベルギー&日本で製造(印刷)して→物流拠点としたNZへ送り→NZから世界中へ輸出するという流れです。
しかし、世界の端っこニュージーランドが、まるで「中東ドバイ経由アフリカ輸出」のような物流中継地点になり得るのか?
在庫管理や品質管理など、企業側にしか分からない理由で一部の商品をNZ経由にしている可能性はありますが、物流効率を考えれば、ベルギーや日本から一度NZへ運び、そこから世界各地へ送るというのは、きわめて不自然。それくらいニュージーランドは世界の端っこなんです。
念のため「再輸出」の可能性も調べてみましたが、2024年の日本向けUS$416,870のうち、再輸出が具体的にいくらだったのかまでは確認できませんでした。
そして、ここまで調べてきて、ようやくファミ通の「NZカードゲーム産業が成長して国策に」という言葉から離れて、この政策そのものを見られるようになりました。
では「ゲームが国策」とは? 「Made in NZ」ではなく「Owned in NZ」
調べてわかったのは、ニュージーランド政府がゲーム産業にかなり大きなお金を投入しているという事実でした。
それが2023年度予算で導入されたGame Development Sector Rebate (GDSR) という制度です。

対象となるゲーム開発会社は、ニュージーランド国内でゲーム開発に使った対象経費の20%について還付申請ができるそうで、年間の最低対象支出はNZ$250,000。
一社あたりの還付上限は年間NZ$300万ドル。
そしてNZ政府がこの制度に用意した予算は、年間NZ$4000万ドルと、ファミ通が「国策」と表現したくなるのも分からなくはない規模です。
しかも政府自身が、「なぜゲーム会社にこれだけの税金を投入するのか?」を、かなりストレートに説明していました。
2023年の制度発表では、ゲーム開発産業について
‐ 「weightless exports(重量を伴わない輸出)」を生む
‐ 高技能・高賃金の仕事を生む
‐ NZの生産性と富を高める
‐ ニュージーランド企業が保有する知的財産を育てる
産業だと説明しています。
「weightless exports」とは、手に取れるモノを船や飛行機で運ばなくても、世界市場へ販売できるデジタル商品などによる輸出のことです。

ゲームを作って海外に売り、ニュージーランドへ外貨を持ってくる。
そのための産業政策だという事です。
ものかん少し砕けて言えば、XeroのようにNZで作ったデジタル商品を世界中に売り、国内市場の小ささに関係なく企業が化けられるモデルを、SaaSだけでなくゲーム産業でも増やしたい。という事ですね。
実際、政府のデジタル産業政策でも、SaaSとゲーム開発は高い輸出成長と将来性を持つ分野として挙げられています。

ここまで読んで、また、「ん?」となった人がいるかと思います。
この政策は、ゲームと言いつつ、対象はゲーム全般ではないのです。
GDSRが対象としているのはデジタルゲームの開発であって、Flesh and Bloodのような物理的なトレーディングカードゲームを製造・販売するための補助制度ではありません。
実際、この制度を運営するNZ On Airの公開情報では、2026年に計43社、合計NZ$21.9 millionが還付されていますが、2026年の受給企業一覧にLSS社の名前はありません。

つまり、
「NZ政府がデジタルゲーム産業を政策的に支援している」というのが事実で、
「NZのカードゲーム産業が6000%成長し、そのカードゲームを国策として政府が支援している」
という話ではありませんでした。
最初に抱いた「なぜカードゲームが国策なんだ?」という疑問は、そもそもの前提が違っていたわけです。
カードゲームは国策ではなかった。でも、ゲーム開発への政策支援は本物だった
2026年のGDSR受給企業は43社。
この受給企業全体の2025/26年度の売上高は合計NZ$8億2900万ドルで、前年から17%増加しています。
そして売上高の98.3%が海外市場からの収入です。
つまり、ほぼ輸出産業です。
政府が年間NZ$4000万ドルという支援枠を用意してまでゲーム開発会社を支援する理由も、この数字を見るとかなり頷きやすくなります。
人口約530万人のニュージーランドで作った商品を、530万人だけに売る必要がなく、世界の主要市場から遠く離れたニュージーランドから、商品を一個売るたびに船や飛行機へ積む必要もない。
高技能人材と企業と知的財産をニュージーランドに置いたまま、世界市場から得る事ができる。
ゲームが特別というより、ニュージーランドという小国が抱える「人口が少ない」「市場から遠い」という二つの弱点を受けにくい産業として、ゲーム開発がかなり都合がいいということなのでしょう。
かなり乱暴に言えば、
第2、第3のXeroが生まれるような産業を増やしたい。
その候補の一つがゲーム開発だったと考えると分かりやすい。
もちろん、一次産業の酪農や食肉、ワイン、キウイフルーツといった従来型輸出を置き換える話ではありません。
それとは別に、土地の広さや生産量、輸送距離に成長を制限されにくい産業を増やして、ニュージーランドの「稼ぎ方」をもう一本増やそうとしている。
これは、かなり合理的な小国の輸出戦略に見えます。
では、Flesh and Bloodは何だったのか。。。
皮肉なのは、この記事を書くきっかけになったFlesh and Blood自体は、GDSRが支援するデジタルゲームではなかったことです。
しかもLSS社は、確認できる限りGDSRの受給企業でもありません。
確認できる量産カードもベルギーや日本で印刷されています。
なので、Flesh and Bloodを「NZ政府がGDSRで育てたカードゲーム」と捉えるのは違います。
一方で、人口530万人のニュージーランドで生まれたゲームが、日本語版を発売し、日本で世界選手権を開催し、Amazonなどのオンラインショップだけでなく、世界各地のゲームショップで販売される事業にまで育った。

これはこれで、NZ国内市場の小ささに売上を制限されない企業がどういうものなのかという実例になっています。
政府が直接支援しているデジタルゲーム企業とは別ルートですが、早い段階から世界市場を前提に成長してきたNZ企業らしい事例だった、という見方はできそうです。
最後まで残った違和感
ものかんただ、最後までひとつだけ解せないことがあります。
今回のファミ通の記事は、ゲーム産業とは無関係な人への取材ではありませんでした。
2026年3月までニュージーランド大使館のNZTE商務官を務め、現在はLSS社の日本カントリーマネージャーである安田氏へのインタビューです。
しかも取材場所はニュージーランド大使館。
その職歴と立場を考えれば、Flesh and BloodがGDSRの対象となるデジタルゲームではないことも、ニュージーランド政府によるゲーム産業支援の中身も理解していたと考えるのが自然です。
そこで改めて元記事を読み返してみると、少し違ったものが見えてきました。
ファミ通の記事中で、安田氏は「カードゲーム産業も育っていて、6000%以上の規模になった」という趣旨の話をしています。
そして別の箇所で、記者から「ゲームは国策の一部なのか」と聞かれ、
「少なくとも私が商務官だったころは、間違いなくゲーム産業を国策としてサポートしていました」
と答えています。
ここで言っているのは「ゲーム産業」であって、「カードゲーム産業を国策として支援していた」とは言っていません。
一方、「6416%」について「NZのカードゲーム産業が前年から6416%成長した」と説明している部分はファミ通側の注釈で、調べた限りでは、これはLSS社一社の3年間の売上高成長率を取り違えたものです。
つまり、
「カードゲームが6000%成長した」という話と、
「NZ政府がゲーム産業を政策支援していた」という本来別々の話が、
記事タイトルでは、「NZのカードゲーム産業が6000%成長して国策に」と一つにつながってしまった。
なぜそうなったのかは分かりません。
ただ、今回調べた限りでは、少なくともそのタイトルから受ける印象と、実際の政策の中身にはかなり距離がありました。
結局、ニュージーランドはゲームを「国策」にしたのか?
最初の疑問に戻ります。
ニュージーランド政府が、
「これからゲームを酪農や観光に並ぶ国家基幹産業にします」
と宣言しているわけではありません。
その意味で「ゲームが国策」と言い切ると、さすがに話が大きすぎます。
しかし、
- 年間NZ$4000万ドル規模の還付制度を設ける
- 高技能・高賃金雇用を作る産業と位置付ける
- 生産性を高める産業と位置付ける
- 輸出収入を生む産業と位置付ける
- NZ企業が保有する知的財産を増やそうとする
ここまで政府が明確に政策支援している以上、
「ゲーム開発をNZの輸出型成長産業の一つとして国が育てている」
という意味なら、「国策」と呼ぶことにもそれなりの根拠がありました。
ただし、正確に言うなら、
カードゲームが6000%成長して国策になったのではなく、NZ政府が主にデジタルゲーム開発を輸出型成長産業として政策支援している。
です。
最初はファミ通の記事を見て、
「NZのカードゲーム市場が6000%成長? しかも国策? そんな話、20年以上NZに住んでいて一度も聞いたことないぞ」
というところから始めた今回の記事。
調べてみれば、6000%は市場全体ではなくLSS社一社の成長率。
Playing cardsの輸出統計を掘れば、なぜか日本向けが56倍。
さらに掘ったら、そもそもFlesh and Bloodの量産カードはNZではなく海外で印刷されている。
そして最後は、カードゲームとは別に、NZ政府がデジタルゲーム開発へ年間数千万ドル規模の資金を投入しているところまで辿り着きました。
だいぶ遠回りしましたが、そのおかげで、
「ニュージーランドは何を作って世界から稼ごうとしているのか」
という、カードゲームよりずっと大きな話が見えてきた気がします。
乳製品、食肉、ワイン、キウイフルーツ、観光。
そんなニュージーランド経済のイメージの横で、世界の端っこからゲームやソフトウェアを世界に売って稼ぐ産業を、政府がかなり本気で育てていました。
NZに20年以上住んでいても、調べればまだまだ知らないことが出てきます。
知ったつもりにならず、これからも新しい知識を吸収し続けていきたいですね。
